2017年12月9日土曜日

171209 大林組ほか、リニア関連工事の入札不正疑いで強制捜査


リニア中央新幹線に関連する建設工事の入札をめぐって不正が行われた疑いがあるとして、東京地検特捜部は偽計業務妨害の疑いで関係先として大林組などを捜索し、強制捜査に乗り出した模様です。特捜部は巨大プロジェクトの建設工事で不正が行われた疑いがあると見て、幹部から任意で事情を聴くなどして、実態解明を進めるものと見られます。


リニア中央新幹線は総工費9兆円の巨大プロジェクトで、JR東海が建設主体となり2027年に東京・名古屋間を、2045年までに東京・大阪間の全線を開業する予定で建設が進められています。

参考記事:

2017年11月27日月曜日

171127 大成建設ほか、ブラック企業大賞にノミネート


東京オリンピック・パラリンピックで使用するメインスタジアム「新国立競技場」の建設工事の元請会社である大成建設およびその一次協力会社である三信建設工業(地盤注入工事、アンカー・斜面安定工事、地盤改良工事などを担う特殊基礎土木工事業者)が第6回(2017年)ブラック企業大賞にノミネートされました。

このノミネートは、今年3月に三信建設工業新入社員(当時23歳、以下A氏)が自殺した事件を受けてのものです。同自殺は長時間労働による過労が原因の労災である、と新宿労働基準監督署に認定されています。A氏は自殺直前の1カ月で約190時間の残業を行っていたとのことです。

この事件を契機として、東京労働局が「新国立競技場」建設工事に関わる約760社を調査した結果、うち37社で違法な時間外労働が確認され、新宿労基署は是正勧告を行いました。報道では、このうち、元請会社や一次協力会社の長時間労働が顕著で、労働局の担当者は「施工管理者が多く、現場作業後のデスクワークで長くなる傾向がある」と指摘しています。新宿労基署は、元請会社の大成建設にも、入退場記録を提供するなど協力会社に労働時間の適正把握を促すよう求め、行政指導を行いました。


こうした悲しい事件が起こった背景には、極めて厳しい工期を指定しながらそれに応じた工事発注金額を支払わない工事発注者側にも問題がある、ということが挙げられます。十分な工事発注金額であれば建設業者も十分な人員を配置できるのですが、発注額が過度に抑えられると人員を削らざるをえない(一人あたりの負荷が大きくなってしまう)のです。こうした観点を一般の方にもっと理解してほしいと思う今日この頃です。

2017年10月4日水曜日

171004 安藤ハザマ、除染事業不正で3か月間指名停止


東京電力福島第1原発事故に伴う福島県田村市発注の除染事業で、作業員の宿泊費を水増し請求してだまし取ったとして、東京地検特捜部が安藤ハザマ東北支店の社員2名を詐欺罪で在宅起訴した事件に絡み、環境省は4日、同社を来年1月3日まで3カ月間の指名停止処分としました。

起訴状によりますと、同2名は田村市発注の除染事業で計約7,600万円をだまし取ったとされています。

 

参考記事:

2017年9月28日木曜日

170928 青木あすなろ建設、建設廃材不法投棄容疑で元執行役員ら5名逮捕

残土で埋め立てるべき処分場に建設廃材を不法投棄したとして、28日午前、廃棄物処理法違反(不法投棄)容疑で青木あすなろ建設の元執行役員青木浩一容疑者(69)ら5名が逮捕されました。
逮捕されたのは青木元役員のほか、横浜市金沢区の廃棄物処理会社「ラビックス」社長(42)や、廃材を運んだ同県海老名市の運搬業者「真建材」社長(45)ら4人。


残土よりも高い処分料を徴収することで、同社は約2年半で約1億円を不正に売り上げた(約6万5,000トンの産廃を不法投棄した)とみられています。神奈川県警によれば、同社も同法違反容疑で書類送検するとのこと。


参考記事:
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170928-OYT1T50059.html
https://mainichi.jp/articles/20170929/k00/00e/040/160000c

2017年9月4日月曜日

170904 清水建設JV、原発工事で4,000万円架空請求、内部通報も機能せず

東京電力福島第1原発事故で、事故後の工事を行った清水建設JVが、作業員の人数を水増しし、約4,000万円を架空請求した疑いがあるとして、同社は1日までに弁護士など外部の専門家を交えた内部調査を始めました。同社によると、社員が関与した可能性があるそうです。問題となったのは、1号機の原子炉建屋を覆うカバーの取り外し工事で、発注者は東京電力。清水建設の社員が2014年1月~16年11月、工事に関わった作業員について延べ1500人分水増しした報告書を作成し、東京電力に対して作業員代約4,000万円を架空請求した模様。
報道が正ならば、35か月間で1,500人ということなので、1か月あたり40人ペースで水増ししていたことになります。労働基準監督署等、ほかの行政機関への報告も偽っていたのでしょうか。

また、清水建設は本件について内部通報を受けていたものの、本格的には調査していなかったとの報道もあります。隠蔽の意図があったのかについても注目です。

参考記事①:https://www.jiji.com/jc/article?k=2017090100842&g=eqa
参考記事②:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6252887


170909追記:
清水建設は8日、弁護士による調査結果を公表し、「所長と下請け業者が、不正取引を行い、およそ3,900万円の損害が発生している」として、不正取引の事実を認めました。また清水建設は、この所長が8日未明に社員寮内で死亡していたことも明らかにしました。不正発覚を受けて死を選んだのであれば、本当に残念なことです。繰り返されるこうした不祥事、この業界からなくすことはできないのでしょうか。
参考記事③:http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00369901.html

2017年8月11日金曜日

170811 大成建設、丸の内の工事現場で作業員3名転落死

本日午後4時半頃、東京都千代田区丸の内3丁目の工事現場で、作業員3名が死亡する事故が発生しました。報道によると、5階部分で壁の基礎部分を造る作業を行っていた作業員1名が、エレベーターを通す縦穴の上に足場として置いていた鉄板とともに、25メートル下の地下3階部分まで落下したとのこと。落下の際、作業員2名を巻き込み、結果として3名の作業員が死亡したと見られています。

同工事は「(仮称)丸の内3-2計画」と思われます(以下参照)。
http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=4&ved=0ahUKEwjZh_Xn2NDVAhUCXrwKHX9JBU8QFgg6MAM&url=http%3A%2F%2Fwww.mec.co.jp%2Fj%2Fnews%2Farchives%2Fmec151111_marunouchi3-2.pdf&usg=AFQjCNF1pC1aH9yQmRg0eRPsSR6kbWFMAw

情報をまとめると、以下のとおりになります。
発注者:三菱地所㈱、東京商工会議所、㈱東京會舘
施工:大成建設
設計監理:三菱地所設計
階数:地下4階、地上30階、塔屋2階
工期:2015年11月16日~2018年10月中旬

皇居に近接し、世界有数のオフィス街である超一等地丸の内の目玉物件。直近で好決算を発表していた大成建設ですが、またも重大事故を発生させました。

祝日、それも大型連休初日に発生した事故。祝日の作業ということで、現場全体に気の緩みがあったのかもしれません。こうした事態が再発しないよう、祝日や週末の現場全休を義務付ける法制度の確立を望みます。

2017年4月24日月曜日

170424 大林組技術研究所で出火騒動


本日13時頃、大林組技術研究所(東京都清瀬市下清戸4丁目)で出火騒動がありました。警視庁東村山署によると、実験棟で充電中のリチウムイオン電池から発火し、白煙が上がったとのこと。東京消防庁の消防車が30台以上出動し、約3時間半後にほぼ消し止められ、けが人はいませんでした。


リチウムイオン電池は水に触れあうと発火する可能性があることから、慎重な消火活動が行われた模様です。だから消火まで3時間半もかかったのですね。


東村山署によると、発火したのはフォークリフトやロボットに使う電池だったとのこと。けが人が出なかったのは何よりです。


参考記事:
http://www.sanspo.com/geino/news/20170424/tro17042414140006-n1.html
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3037182.html

2017年4月13日木曜日

170413 竹中工務店 1億5,000万円申告漏れで追徴課税


竹中工務店が約15,000万円の申告漏れを指摘され、約4,900万円を追徴課税されていたとのことです。公表されている内訳は以下2点です。


1点目は、私的流用を原因とする約4,600万円の申告漏れです。元社員が協力会社に工事代金を水増請求させ、私的流用していたことが所得隠しにあたる(故意に所得を圧縮した)と認定された模様です。
2点目は、本来計上すべき決算期と異なる時期に工事の収益を計上した経理ミスなどによる、約1400万円の申告漏れです。
 
1点目は元社員の不祥事に起因するものであり、会社が被害者となった側面があります。しかしながら、2点目の経理ミスは事務処理能力不足に起因するものと思われます。建設業界全体が繁忙期を迎えるなか、同社の事務処理能力に限界が来ていたのでしょうか。他社でも同様の事態が起こらぬよう、注意が必要です。


参考記事:
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170413/k10010946651000.html

2017年4月5日水曜日

170405 農地の震災復旧で談合疑い‐ゼネコン十数社に立ち入り

農林水産省東北農政局が発注した東日本大震災の復旧工事などをめぐり、談合した疑いが強まったとして、公正取引委員会は4日、独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで、鹿島建設や大林組などゼネコン十数社を立ち入り検査しました。


ほかに立ち入り検査を受けたのは、前田建設工業や東急建設、戸田建設、熊谷組、西松建設、奥村組、飛島建設、フジタ、青木あすなろ建設、りんかい日産建設など。各社は東日本大震災で被災した農地や水路を復旧する土木工事などをめぐり、事前に受注予定者を決めるなどしていた疑いが持たれているとのことです。


東日本大震災に関わる談合疑惑。道路舗装業界にとどまるかと思っていましたが、総合建設業界にも波及していた模様です。震災のドタバタ状況のなか、談合を許す風潮ができてしまっていたのでしょうか。調査結果に注目です。


参考記事:
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG04H5N_U7A400C1000000/
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017040400667&g=soc

2017年3月11日土曜日

170311 北海道札幌市マンション外壁崩落事故

33日、北海道札幌市でマンションの屋上壁一部が30m超下まで崩落するという事故が発生しました。同マンションは7階建て、築45年とのことです。

地震等の明確な外部要因がないなかでの崩落。築年数がかなり経っているとはいえ、日本のマンションではまず考えられないような事故です。北部特有の寒冷な気候により、外壁が大きく経年劣化していたのでしょうか。

高度成長期に建てられた建築物について、建替補修の必要性が声高になってきた昨今。対応を進めていかないと、同様の事故がまた発生してしまうのではないか、と不安に思います。

参考記事:

2017年3月3日金曜日

170303 除染担当専門官、収賄容疑で逮捕


福島環境再生事務所(環境省管轄)の専門官が収賄容疑で逮捕されました。同氏は除染現場で施工業者を指導・監督する立場にあり、この立場を利用して工事元請負人に対し、贈賄を行った業者を下請けにするよう圧力をかけていたとみられています。


受けた贈賄の内容は、飲食やキャバクラ接待等で20万円相当とのこと。工事元請の立場として、官公庁側でこのような不正が行われていたとすれば非常に残念です。
 

参考記事:


2017年3月2日木曜日

170302 大型港湾工事入札で不正疑惑(五洋建設他)



「東京都が過去5年間に発注した大型港湾工事で、事前に公表されていない入札の下限額を都が誤って計算していたにもかかわらず、五洋建設他がこの下限額と極めて近い金額(一部では同額)で入札、落札したケースが相次いでいる」との報道がなされました。競争相手がいない入札では上限額に近い金額で落札されており、入札情報の事前漏洩が疑われる事態です。

海洋工事業界の不正体質は従来から指摘されるところでしたが、白日の下に出る機会はなかなかありませんでした。私見ではありますが、道路舗装業界の摘発が一巡した後、海洋工事業界に是正の手が入っていくことになると考えています。マリコン株を持っている皆さん、こうしたリスクがあることを十分念頭に置くようにしてください。

2017年3月1日水曜日

170301 住宅産業研修財団の元経理部長、約5,300万円着服容疑

一般財団法人「住宅産業研修財団」(東京都港区、内閣府所轄)の元経理部長が、同財団資金約5,300万円を着服したとして、東京地検特捜部に業務上横領の疑いで逮捕されました。

同財団は、建築業に携わる大工職人や工務店などに研修を行っている一般財団法人で、同部長はこの財団のほか、国土交通省から補助金を受けて大工職人を育てる一般社団法人「大工育成塾」でも経理を担当していたとのこと。


同部長が横領をしていたのかはさておき、官公庁系団体の問題です。私は一度も名前を聞いたことがない団体ですが、こういう団体は日本にたくさんあるんでしょうね。




2017年2月28日火曜日

170228 道路舗装のアスファルト合材でカルテル疑惑、大手9社に立入調査


大手の道路舗装会社9社が、道路の舗装工事に使うアスファルト合材の価格を全国規模で一斉に引き上げる不正なカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会による立入検査が行われました。
捜査対象となっているのは、NIPPO・前田道路・大林道路・ガイアート・鹿島道路・大成ロテック東亜道路工業世紀東急工業日本道路9社。各社は遅くとも数年前から、本社の課長クラスの担当者が示し合わせ、1トン当たり数百円価格を引き上げていた模様。
道路舗装業界ではつい最近の20169月、東日本大震災で被災した高速道路の復旧工事をめぐる談合事件で、計11社に対して約14億円の課徴金納付命令が出されたばかり。同業界の闇はまだまだ深いようです。


参考記事:


2017年2月19日日曜日

170219 鹿島建設社員の車が全焼

18日午前2時頃、福岡県筑紫野市で鹿島建設九州支店副支店長の車が全焼するという事件がありました。なんと、同氏は2年前にも車を燃やされていて、警察は放火の疑いで捜査しているとのことです。


反社勢力の活動が目立つ九州(特に福岡)での事件、十中八九、反社の仕業でしょう。反社との縁を断ち切ったゼネコンが、過去に繋がりのあった反社から被害を受けることはしばしば見受けられるものです。

反社勢力が根絶されることを切に願っています。

参考記事:

http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000094674.html

2017年2月13日月曜日

170213 関電高浜原発クレーン倒壊事故(大成建設)

2017年1月20日、関西電力高浜原子力発電所2号機(福井県高浜町)の安全対策工事において、大型クレーンが転倒する事故が発生しました。
関西電力の事故調査によれば、元請負者の大成建設が暴風警報を把握せず、暴風時に必要なクレーンのアームの折り畳みなどの防止策を取っていなかったことが原因であったとのことです。


事故が起きた1月20日午後9時50分ごろ、同原発周辺には暴風警報が出ていました。しかし、大成建設は同日の工事終了後、気象情報の確認を怠り、暴風警報に気付かなかったそうです。一方の関西電力も、警報を把握していたが大成建設への連絡は行わなかったとのこと。





風速40メートル以上の暴風によってクレーンのアームを支える部品が変形し、倒壊につながったとみられています。
クレーンは原子炉補助建屋と燃料取扱い建屋(使用済み核燃料の保管庫)を直撃しました。大変な事故ではありますが、放射能漏れという大参事には至らず良かったです。





201611月に起こした博多駅前陥没事故の問題があるなか、さらなる事故を起こしてしまった大成建設。爆発的な業務量のせいで、ミスが多発してしまっているのでしょうか。

2017年2月9日木曜日

170209 博多駅前大規模陥没事故(大成建設他JV)

2016年118日早朝、JR博多駅前で陥没事故が発生しました。発生した陥没は約30m四方、深さ15mと大規模なもので、史上稀に見る大事故となりましたが、幸いにも死傷者は一人も出ませんでした。事故当時、付近ではガス漏れが発生し、また、周辺800戸で停電が発生する事態になりました。原因と考えられているのは、事故発生現場の地下で行われていた地下鉄工事です。


今般、施工業者(大成建設他JV)がトンネル天井部の岩盤を補強する鋼管の一部を切断したことが本事故の原因になったのではないか、との報道がなされました。

同JVは、鋼材をトンネル天井部岩盤に打込み、岩盤を掘り進めていました。ストロー状の鋼材に地盤を固める薬液を注入し、同薬液を周囲の土壌に浸透させていたのです。ところが事故現場では、鋼材の一部が切断されていました。福岡市によると、事故後にJV側から「拡幅工事の支障になった」と切断理由について報告を受けたそうです。

「この鋼管切断が事故原因である」と第三者委員会が判断した場合、同JV側に過失があったことが認定されてしまうことになります。この場合でも、事故に起因する損害の大部分は建設工事保険でカバーされる(過失ありでも保険は下りる)と思うので、同JV側にそれほど損害は発生しないと思います(もちろん社会的信用は大きく傷ついているとは思いますが)。

今日はこの辺で。

2017年1月26日木曜日

170126 北海道中川町琴平国道40号トンネル工事‐岩盤崩落事故(清水建設他JV)

24日午後9時頃、北海道中川町琴平の国道40号のトンネル工事現場で岩盤が崩落し、作業員1名が生き埋めになり、その後死亡するという事故が発生しました。
当該トンネル工事の元請負人は清水建設他JV。崩落現場付近の地質は、蛇紋岩(脆くて崩れやすい岩)が多く、20142月頃にも崩落が発生するなど、大変な難工事となっていた模様です。事故当時、現場では死亡した作業員を含む8人が発破作業の準備をしていましたが、他の7人は崩落に巻き込まれずけがはなかったそうです。

同作業員のご冥福をお祈りします。