タカタ会長がエアバッグ問題を謝罪、株主救済「見込みない」

タカタ会長がエアバッグ問題で謝罪、株主救済「見込みない」 
 6月27日、欠陥エアバッグ部品問題による業績悪化で民事再生法の適用を申請したタカタは、東京都内で株主総会を開いた。タカタ株は7月27日付で上場廃止となるため、今回は上場会社として最後の株主総会。多くの株主が損失を被る可能性が大きく、高田重久会長兼社長は「このような事態になり、多大なるご迷惑をおかけした」と述べ、経営陣全員も起立して陳謝した。写真は都内で26日撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 27日 ロイター] - 欠陥エアバッグ部品問題による業績悪化で民事再生法の適用を申請したタカタ<7312.T>は27日、東京都内で株主総会を開いた。同社株は7月27日付で上場廃止になり、今回は上場会社として最後の総会。多くの株主が損失を被る見込みで、高田重久会長兼社長は「このような事態になり、多大なるご迷惑をおかけした」と述べ、経営陣全員も起立して陳謝した。
高田会長は冒頭、自社製エアバッグの異常破裂による事故で「お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方にお見舞いを申し上げたい」と述べ、壇上の経営陣全員が立ち上がり、ともに5秒間ほど頭を下げた。
株主に対して高田会長は、民事再生法申請に至った経緯を説明。民事再生法では100%減資を実施する場合が多く、「裁判所の判断次第だが、一般的には株主価値はなくなる」とし、株主救済に充てる資金分配の「見込みはない」と重ねて謝罪した。
株主からは経営判断への批判が相次いだ。「中国の会社になぜ破格の安さで売却したのか」、「自動車メーカーとリコール費用の分担をなぜ争わないのか」、「経営判断として何が失敗だったのか」などの質問も出た。
中国企業傘下のスポンサー企業に対する事業譲渡額約1750億円の妥当性について、吉田勉取締役がスポンサー選定のプロセスを説明。経営判断ミスに関して高田会長は「できる限りの対応をした」としつつ、「事態の長期化をここまで予見できなかった」などと振り返った。「私財を提供すべきだ」との厳しい意見に高田会長は回答に困ったのかしばらく沈黙、「議案に関する質問をお願いします」と濁した。
総会中、説明が長くなりがちな高田会長に対しては苛立つ株主の声も目立った。そんなに話したいなら「マスコミの前でもっと話してほしかった」との声も出た。高田会長は「私もじくじたる思いがあった」とした上で、公聴会後には「記者会見する予定だったが、してくれるな」という声があったとも釈明。ただ、報告の仕方は「不適切だった」と反省した。
総会後、株主の40代女性(東京都在住)は「お通夜みたいだった。株を持っている人は報道などである程度は覚悟できていたと思うが、高田会長は言い訳ばかりで当事者意識がない。マスコミや周りのせいにしてばかりで、これではダメになるのも当然と思った。最後くらい、社会的責任を果たすようなことをしてほしい」と述べた。
60代の男性株主(千葉県在住)は「トヨタ自動車が米国でリコールした時の社長のように、もっと積極的に前に出て誠意を見せるべきだった」と指摘。ただ「タカタの製品は悪くない」として早急に汚名を返上する努力を求めた。
他社の株主総会に出席していたため遅れてやってきた40代の男性株主は「問題が起こる前から買っていて最近売って数千万円の損をしたので、最後に会長に一言、文句を言ってやりたかった」と話した。
総会では取締役6人を再任する議案が可決されたが、暫定的な体制で、現経営陣はスポンサー企業と最終合意ができ次第、来年3月までに辞任する見込み。総会は昨年より約40分長かった。
*内容を追加しました。

白木真紀

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