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ローソンの「売上高1割アップ」が困難な理由“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)

ローソンが発表した中期経営計画では、各店舗における1日当たりの売上高を1割以上引き上げるという高い目標が掲げられたが、実現はそう容易ではない。ローソンが抱える課題から、コンビニというビジネスの特徴について解説する。

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 2017年5月に行われたローソンの株主総会では、竹増貞信社長に対して株主から厳しい質問が相次いだ。特に株主の関心が高かったのは、親会社となった三菱商事との利益相反問題である。

 コンビニとそこに商品を納入する商社との間には、常に利益相反が発生する可能性がある。コンビニにとってはできるだけ安く商品を仕入れた方が利益が大きいが、商社は高く売った方がよい。別々の企業であれば、最終的に交渉で価格が決まるが、コンビニと商社が同じ企業グループだった場合、双方のバランスを取ることは極めて難しくなる。

 以前はこうしたコンビニと商社の関係について、市場があまり意識することはなかったが、最近ではコーポレートガバナンスに対する意識が高まり、利益相反などの問題はシビアに評価されるようになってきた。

photo ローソンの人気商品「でか焼鳥」

 竹増社長は「1円でも条件が悪ければ三菱商事とは取引しない」と発言するなど、ローソンの利益を最優先に考える姿勢を強調して総会を乗り切った。

 実際、竹増体制で掲げられた中期経営計画は意欲的な中身であり、計画を実現できれば、ローソンが三菱商事にいいように使われるのではないかという不安は確実に払拭(ふっしょく)されることになる。だが、設定された数値目標は極めて高く、現時点においてこれを達成する具体的な道筋は見えていない。

 特に業界関係者が驚愕(きょうがく)しているのが、各店舗に日販(1日当たりの売上高)を2021年度(2022年2月期)までに1割以上引き上げるという目標である。簡単に思えるかもしれないが、現実はまったく異なる。今のコンビニ業界にとって売上高の1割アップは至難の業といってよい。

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