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“聖杯”の寄る辺に従い、満たされた純利益345億円 「FGO」提供のアニプレックス「NOKIZAL」決算ピックアップ(1/2 ページ)

» 2018年07月11日 10時50分 公開
[NOKIZALITmedia]

 アニプレックス(東京都千代田区)が7月4日、官報に掲載した決算公告によれば、2017年4月〜18年3月の売上高は2009億5800万円(前年同期は1032億4100万円)、当期純利益は345億6100万円(同165億6200万円)だった。累積の利益や損失の指標となる利益剰余金は555億3100万円(同209億6900万円)。

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 アニプレックスは1995年設立。ソニー・ミュージックエンタテインメントの子会社で、「Fate」シリーズや「物語」シリーズ、「ソードアート・オンライン」「夏目友人帳」「銀魂」など、アニメの企画や制作などを手掛けている。社名のアニプレックス(Aniplex)は、アニメーション(Animation)から派生する権利ビジネスの複合体(Complex)を意味している。

 15年8月から、ゲームブランド「TYPE-MOON」による作品「Fate/stay night」(2004年)を基にしたスマートフォンゲーム「Fate/Grand Order」(FGO、開発元はディライトワークス)を提供。日本国内での累積ダウンロード数が1300万を突破するなど、大ヒットを記録している。

photo 「Fate/Grand Order」公式サイトより

ここがポイント

FGOの利益配分、アニプレックスとディライトワークスで8:2程度?

 昨年に引き続き、売上高・利益ともにほぼ倍増を記録したアニプレックス。その絶好調の決算を引っ張っていると思われる要因が「FGO」です。開発元のディライトワークスの決算でも、すごい利益をもたらしていました。発売元のアニプレックスにも、下記のグラフを見ると一目瞭然、さらにすさまじい利益をもたらしています。

 FGO提供前のアニプレックスの純利益は30億円ほどで安定していたようですので、単純計算すれば、当期はFGO単体で300億円以上の利益をたたき出したことになります。

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 なお、開発元であるディライトワークスの17年7月期の純利益は45億円。決算期が異なるので比較は難しいですが、アニプレックスの17年3月期の純利益165億円と18年3月期の純利益345億円を基に、ざっくりとアニプレックスの17年7月時点の純利益を仮定してみると、200億円程度。その場合、利益配分は8:2くらいではないかと考えられます(実際はさらにTYPE-MOONへの利益配分もあると思われます)。

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 発売元と開発元で、ずいぶん差があるようにも思えるかもしれません。しかし映画並みに開発宣伝費用が膨れ上がっているにもかかわらず、大ヒットするゲームはほんの一部というスマホゲーム業界のレッドオーシャン具合と、おそらく当初の開発・宣伝費用の多くをアニプレックスが負担していたであろうことを考えると、一概に数字だけを見て「利益を取り過ぎ」とはいえない気はします。極論ですが、宝くじの購入費用を誰が負担するかという話なのです。

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