2012/4/9

  2012年4月9日(月)
  電力料金の高騰は日本経済の新たな危機。
  ダイハツディーゼルと日阪製作所に注目。

(一)東電に次いで関電も値上げへ。

(1)東電が電力料金の大幅値上げを発表した。
(2)関電も大飯原発の再稼働が遅延すれば値上げは避けられないと予告している。関電は火力発電で急場を凌いでいるが、石油・天然ガスの値上がりがコスト高の追い打ちをかけている。
(3)夏場には電力不足も必至だろう。

(二)主要国の原発依存度。

(1)主要国の原発依存度は次の通りである。(数字は%)

 日 本
24.1 
 米 国
19.3 
 フランス
77.1 
 ドイツ
23.5 
 英 国
13.6 
 スウェーデン
42.6 
 韓 国
34.0 
 中 国
2.0 

(2)原発依存度はフランスが突出して高く、日本はスウェーデン、韓国に次いで高い。しかし特に高いというわけではない。
(3)自然エネルギーの開発に熱心なドイツとスウェーデンも原発依存度が高い。
(4)中国は石炭火力が78.9%を占めており、CO2の発生を防ぐために、20基に上る大規模な原発開発を進めている。
(5)新興国は電力コスト削減のため、みな原発導入意欲が高い。
(6)韓国の原発は危機対策の甘さが指摘されている。
(7)脱原発に反対する日本人はいない。しかし即時停止は電力不足とコスト高を招き、企業は国際競争力を失う。

(三)経営者の60%が電力会社からの購入を減らすと回答。

(1)日経のアンケートによれば、経営者の60%が電力会社からの購入を減らすと回答している。
(2)電力料金の高騰は日本の産業界の国際競争力に大きな打撃を与える。
(3)円高は製造業の海外移転を招き、国内経済の空洞化を招いた。円高がようやく一服すると、原発停止で電気料金の値上げが避けられなくなった。火力発電に頼ると石油相場の値上がりがコストアップを招く。
(4)企業が自力による発電に活路を求めるのは当然である。自家発電の導入で追い風を受ける企業もある。
(5)自然エネルギーの開発で日阪製作所、自家発電でダイハツディーゼルに注目したい。

(四)太陽光発電の開発にも制約。

(1)日経は先週、アメリカとドイツで太陽光発電のトップ企業が相次いで倒産したと報道した。電力会社が買い取り料金の値上げ要求を拒否したからである。
(2)電力会社としては値上げを呑めば電力料金を値上げせざるを得ない。しかし特定企業を救済するためのコストアップを受益者に転化するわけにはいかない。
(3)日本でもソフトバンクを筆頭にメガソーラー(大規模な太陽光発電)の開発計画が目白押しである。孫社長は電力会社に買い取らせればよいと主張しているが、問題は買い取り価格である。電力会社が特定企業から高値で買い取るわけにはいかないことを、ドイツとアメリカが証明した。

(五)投資採算が合う自然エネルギーは地熱発電だけ。注目株は日阪製作所。

(1)地価が高く、風力が不安定な日本では、太陽光発電や風力発電はコストが高い。日本で投資採算に合う自然エネルギーは.地熱発電だけ、という定評がある。
(2)日本にはコストゼロの地熱と世界一の熱交換機があるからである。
(3)地熱(温泉)は国立公園内に潤沢にあり、国立公園はすでに民間企業が無料で開発できる場所を特定し、発表している。
(4)その地熱に国立公園の外部からパイプを打ち込んで冷却水を注入し、熱水を汲み上げる。冷水と熱水の温度差を熱交換機で交換し、モーターを回し、発電する。
(5)プレート式熱交換機では日阪製作所が世界一である。特にチタン製のプレート式熱交換機は、海洋温度差発電や福島第一原発の冷却で威力を実証した。

(六)企業は自家発電で自衛する。注目株はダイハツディーゼル。

(1)電力不足が常態化し、今夏にも停電や値上げが避けられないと見れば、企業は自衛のために自家発電設備を導入するだろう。
(2)中小企業はダイハツディーゼルの小型発電機を用いるだろう。
(3)世界一のシェアを持つダイハツディーゼルの船舶用ディーゼルエンジンは、小型で燃費効率が高い。
(4)昨年の東北大震災発生時には需要が急増した。
(5)4月2日付クラブ9を参照されたい。