自動運転開発、20年代実現へ佳境 「人とくるま技術展」開幕
自動車技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展」が24日、横浜市で開幕した。部品各社が自動運転などの新技術を披露した。
仏部品大手ヴァレオは車の周囲360度を監視するシステムを発表。自動運転ベンチャーのZMP(東京・文京)は自動運転の実験車両を使った開発支援サービスを提案する。完成車各社が2020年代の自動運転の実現を目指す中で、部品各社の開発競争も佳境を迎えつつある。
仏ヴァレオは車の全方位を監視できる「コクーン」システムを発表した。周囲の障害物との距離や形状などを測るレーザースキャナーを4~8個組み合わせ、車両の周囲360度の状況を監視する。
コクーンには、同社が開発した小型のレーザースキャナー「スカラ」を使う。前方と後方に2~4個ずつ配置すれば、歩行者で50メートル、乗用車で150メートル先まで識別できる。複数の情報を統括するECU(電子制御ユニット)も開発しており、隣り合う2つのスキャナーで同一の物体を検知した時に、2つではなく1つの物体として情報を統合する。
6月にヴァレオ日本法人の社長に就任するアリ・オードバディ氏は「完全自動運転の実現はそう遠くない。幅広い技術を提案してリードしたい」と意気込む。コクーンについてはすでに複数の完成車メーカーとの共同開発も進んでいるという。
ZMPは完成車や部品メーカーに対する新たな研究開発支援のメニューを発表した。市販車を改造した自動運転の実験車両「Robo Car」で、自動運転車のドライバーから心電や脳波の情報を取得。ほかにも同社の自動運転の実験中に取得しているセンサーや車両データを、完成車メーカーや部品メーカーに販売する。
自動運転に応用するディープラーニング(深層学習)の開発には数万枚を超える画像データが必要になる。同社は走行データの取得計画からデータ管理、取得した情報の加工などのサービスも一括して受注する。
ZMPは今年1月、自動運転技術に関するDeNAとの業務提携を解消した。現在は公道での実証実験を重ねており、17年度中に完全自動運転車を使った実証実験を計画する。自社の実験結果をパッケージにして、部品メーカーなどに向けた開発支援サービスとして提案している。
人とくるまのテクノロジー展は24日から26日まで3日間開催する。過去最高となる562社が出展、8万人超の来場者を見込んでいる。自動車技術会で展示会の責任者を務める竹村宏氏は開会のあいさつで「車は従来の延長でない新たな方向に進化を遂げている。過去を振り返り、最新技術に触れる機会になれば」と話した。
(河野真央、江口良輔)