トヨタのベア額非公表を批判 金属労協議長「相場形成は社会的責務」 (1/2ページ)

金属労協の高倉明議長
金属労協の高倉明議長【拡大】

 今年の春闘で、トヨタ自動車が賃金水準を引き上げるベースアップ(ベア)の具体額を非公表としたことに対し、主要製造業の産業別労働組合でつくる全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)の高倉明議長(自動車総連会長)は21日の会見で「(公表による)賃上げの相場形成と波及は大企業の社会的責務だ」と批判した。トヨタの経営側は今後も非公表を続けたい考えを示しており、2019年春闘で火種となることは避けられない情勢だ。

 金属労協は今春闘の「評価と課題・中間まとめ」として東京都内で会見を開いた。高倉氏は「大手の賃上げ額がマクロレベルで成果配分の重要な物差しになっている」と公表の必要性を強調。「このような事象(非公表)が来年も続くとすると大きな問題だ」とくぎを刺した。

 トヨタ経営側は3月、春闘交渉の回答を「正社員だけでなく、定年後再雇用者、期間従業員も含めた全組合員の昇給率3.3%」とした。労組側は一般組合員(正社員)の「ベア月額3000円」を要求していたが、「前年の1300円は上回る」ことだけを公表し、賃上げ額は明らかにしなかった。

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