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NTTドコモによる海賊版サイト遮断、MVNO利用者は対象外、KDDIやソフトバンクは?

 海賊版サイトの“ブロッキング”を実施することを、日本電信電話株式会社(NTT)などが23日、発表した。NTTグループでISP事業を展開するNTTコミュニケーションズ株式会社、株式会社NTTドコモ、株式会社NTTぷららの3社において、準備が整い次第、実施する。これらのISPの加入者が「漫画村」「Anitube」「MioMio」という海賊版3サイトへアクセスにようとすると、ISPによって強制的にアクセスがブロックされる。

 NTTドコモによると、実施するのは“DNSブロッキング”方式によるもの。例えば、ドメイン名を使って海賊版サイトへアクセスしようとしても、本来つながるはずのサイトにつながらなくなる。NTTドコモのISPサービス加入者が利用するDNS(ドメインネームシステム)サーバーにそうした設定を施してブロッキングする仕組みだ。

 そのため、NTTドコモによるブロッキングの影響を受けるのは、NTTドコモが提供しているISPの加入者となる。具体的には「spモード」「iモード」「mopera U」「ビジネスmoperaインターネット」「docomo Wi-Fi」といったモバイル向けサービスのほか、「ドコモ光」向けのISP「ドコモnet」も含まれる。一方で、NTTドコモのモバイルネットワーク回線を使ってサービスを展開しているMVNO各社の加入者には、ブロッキングの対象外だとしている。

KDDIは今後検討、ソフトバンクは慎重姿勢を崩さず

 ISPがサイトブロッキングを行うことは通信の秘密との兼ね合いもあり、日本では児童ポルノサイトのブロッキングに限り、「緊急避難」(刑法第37条)として違法性が阻却されるとして、許容されている。同様の考え方を著作権侵害サイトにまで拡大しようとする動きに対しては、通信事業者業界団体などから反対の声も挙がっていた。

 今回、国内有数のISPでもあるNTTドコモでブロッキングが実施されることになった一方で、KDDI株式会社は「(ブロッキングの是非の段階から含めて)今後検討することになる」としている。

 また、ソフトバンク株式会社では、以下のようにコメントしている。

 「著作権などが侵害される事態を放置しておくことは看過できるものではなく、早急に対応すべき重要な問題として認識している。しかし、ブロッキングは通信の秘密を侵害する懸念もあり、慎重な議論が必要であることから、電気通信にかかわる業界団体などとも連携し、法律や制度、運用方法など、さまざまな観点から実行可能な方策を検討していきたい。」