2017年2月13日に、株式会社ユーザベースの2016決算説明会を開催しました。当日の質疑応答を全文書き起こしでレポートいたします。
(決算説明をまとめた前編はこちら

【質疑応答1】キュレーションメディア騒動の影響は

――SPEEDAについて、今IDが増えている業種、それが価格構造やトレンドとして変わってきているのかどうか。一般事業会社が増えているというお話でしたが、企業の特性について教えてください。
代表取締役社長(共同経営者) 新野良介(以下、新野) ご質問ありがとうございます。
上場時に提出した「成長可能性に関する説明資料」に、国内の金融機関様を中心としたプロフェッショナルと、それから事業会社、海外顧客の3層で、それぞれの成長率を出していますが、上場時で20%、48%、85%という形で、3分野ともに伸びています。
当然、一番売上が大きくて従前からやっているプロフェッショナル業界の成長率が相対的に低いわけですが、それでも依然として20%近い成長率があります。その上に、事業会社が50%近い成長をし、海外は100%に近い成長をしているということで、全体としてグラフのカーブが良くなっています。
この成長率がそのままいきますと、構成としましては海外と国内の事業会社の割合がぐっと膨らんでいくことになりますので、我々としてはプロフェッショナル事業のほうもしっかり増やしていきたいなと思っています。
――現状としては計画通りになっているということでよろしいのでしょうか。
新野 計画通りに進捗(しんちょく)しています。先ほど梅田から説明がありましたように、事業会社様の利用が非常に伸びていますので、ここのニーズを、お役に立てるところまでしっかりと引き上げていく、ということは国内をさらに成長させていくことには必要なことです。
他方でプロフェッショナル事業のほうは屋台骨ですので、ここは引き続き高い成長を維持するよう努力する、そのような形になりますので、我々の想定どおりということになります。
――海外で増えているIDは日系企業なのか、それとも現地企業なのか、どういったところになるのでしょうか。
新野 2014年に海外での売上計上が始まりましたが、2014年はほぼ日系企業でした。2015年は非日系が入りはじめ、2016年には新規数は毎月の売上で日系と非日系がほぼ同じくらいになりました。だんだん非日系が主流になってきています。
――まず投資に関して。今期以降も投資が大きく継続するということかと思うのですが、2016年に積み残した分が入っているのか、それとも、今期の予算として新しく入っているのか、ということをお聞きしたいです。それから今期どのくらいの投資が、それぞれSPEEDAとNewsPicksで出るのか、その投資の中身のイメージを教えてください。
代表取締役社長(共同経営者)梅田優祐(以下、梅田) 昨年投資しきれなかったものは、今年しっかり投資をしていくということですね。それは織り込まれているということで、特に第1四半期は投資が入ってくると思います。その投資というのは、比較的、一時的要素が多いと思っています。これは特にNewsPicksのほうですね。
新野 SPEEDAも同じで、投資の主たるものとしては人員投資です。昨年採用できなかったメンバーを今急いで採用していますので、だいぶ、第1四半期に集中して人は増えると思います。その結果として採用費も含めて第1四半期では一時的なコストも出ていくという構造になります。
――どのくらいの人員増をイメージしていますか?
新野 もともとSPEEDA、NewsPicksそれぞれ約10名が最低水準ということで想定していました。今年利益を出していこうという意味ではそのくらいの水準を考えていましたが、足元の売上の勢いもあるので、投資のほうにアクセルを踏みまして、SPEEDA、NewsPicksそれぞれ倍増して約20名程度ずつを採用しようと想定しております。それが投資の主たるものになってくると思います。
――最後に、世の中でキュレーションメディアが批判を受けているなかで、NewsPicksは毛色がかなり違うと思うのですが、そうした影響がNewsPicksには出ているのでしょうか?
梅田 影響は出ていないですね。逆に我々としては、これは追い風であると思っています。NewsPicksは信頼された情報が、信頼された人たちによって集まってくる場である、「クオリティ・プラットフォーム」であるいうことをより強調していかなければいけないなと思っています。これは時代の求めだと思いますので、しっかりと応えていきたいと思っております。
――ありがとうございました。

【質疑応答2】有料課金増のトリガーは

――NewsPicksのほうで2つありまして、1つは、有料の課金に変わるトリガーというのは、梅田さんから見ていかがでしょうか。例えば記事とか、コメントとか、どういうもので有料課金につながったのかということを教えてください。
梅田 課金が増えたトリガーですか? それとも今後の話でしょうか。
――課金が増えたトリガーです。
梅田 はい。現状はやはり、編集部によるオリジナルコンテンツ、それが最も大きなトリガーになっています。今までは当たり外れもあったのですが、編集部の体制を強化したことによりまして、安定的に有料課金が増える体制になってきたのが2016年だったと思います。
――ありがとうございます。もう1つは、丸の内、大手町に勤務する会員を増やしたい、SPEEDAとの連携という話もありましたが、コンテンツやピッカーのほうで仕掛けをするという具体的な施策があれば教えてください。
梅田 おそらく第2四半期くらいから、より伝統的企業の方々に求められているコンテンツが増えていく予定になっております。我々のマーケティングも含めて、フォーカスも明確に変えていきたいと思います。
――ありがとうございました。

【質疑応答3】コスト増のペースと利益計画のバランスは

――いくつかありまして、今期の利益計画がセグメントごとにどういうバランスになるのでしょうか。また先ほど、今期の見通しは人員増でコストをかけるという話がありましたが、それにしても売上が30億、利益が2億5000万円しかとれない中で、十何億円もコストとして使い切るのか。今年も採用費を使い切れずに利益を上乗せしましたという会社はよくあるので、採用の手ごたえを得た上での数字なのか、考え方も教えてください。
新野 まずセグメントごとの構成ですが、APPENDIXとして記載している30ページのスライドをご覧ください。
だいたい6割がSPEEDA 事業、4割がNewsPicks 事業の売上構成になっております。
――利益も同じ構成になるのですか?
新野 営業利益におけるセグメント比率は現状、開示しておりませんが、NewsPicksのほうは黒字化しておりますので、割合としてはNewsPicksのほうが、少し増えていくという感じになります。
梅田 金額ではないですね。昨年よりは、今年の貢献度合いが増えるという意味です。それから人員増についてのご質問だったでしょうか。
――そうです。人員増とコスト増について、どの程度の手ごたえというか、確度の高い数字なのかという。
梅田 すでに内定している方々も含めて、昨年に比べて早いペースで採用が決まっているという足元の状況があります。採用に関しては将来の成長投資のために、経営メンバー含めて、しっかりコミットをしていかなければならないと考えております。我々の想定としましては、計画通り人員の採用ができていると考えております。
――今期は20名ずつくらい採用して、来期は落ち着く感じでしょうか。
新野 投資のアクセルを踏まないパターンでも、SPEEDA、NewsPicksでそれぞれ10名ずつくらいを採用して、適正に現場が回ると考えています。経営判断として売上を早く成長させるためにいかに投資のアクセルを踏むか、ということになりまして、今期はそれを前倒しして倍増させようということですので、来期以降も今回のような40名増というペースが続くということは想定しておりません。
投資のアクセルを踏むか判断するときは、今後2〜3年の中で正常収益に持っていくのに、一番良いパターンはどれかというところで見ております。
――またSPEEDAの契約ID数について、今期どれくらいの伸びを見ているのでしょうか。先ほど単価は少しずつ上がっているとのことでしたので、今期も少しずつ単価が上がって、という計画になっているのでしょうか。
新野 単価については、じわじわ上がっていくと思います。しかし計画については保守的に見ているところがあります。ID数については数字を開示していないので具体的な数値をお伝えできないのが恐縮なのですが、今年よりも獲得できるという計画を作っております。
――それは国内も海外も同じくらいの伸びということですか?
新野 そうですね。現時点の単価をもとに計画を算出しています。逆に今の売上をベースに計画値の単価を割っていただくと、だいたい想定している売上、ID数が分かるのかなと思っております。
――あとNewsPicksのほうなのですが、今期の売上見通しで、課金と広告、リクルーティングをどういうバランスで考えていらっしゃいますか。先ほど、前期は1:2の構成比率とおっしゃっていました。
梅田 はい。詳細については開示していないのですが、言えることとしましては、有料課金売上の割合が増えるということを想定しています。これは明確に、社内方針として持っており、よりストック型の収益構成が増えていくということです。
月5000円のプランを今年の第2四半期から始めるというご説明をしましたが、これは出してみないとわからないところはありますので、計画には織り込んでおりません。
――わかりました。これで最後の質問ですが、NewsPicksの月間平均DAU数とユーザー数の今期の見通しはどういうふうになっているのでしょうか。
梅田 まずユーザー数ですね、これは全ての土台になりますので、これは毎年同じペースで増やしていくというのが大切で、コントロールしていかなければいけないと思っております。
テレビ広告等をやって一気に増加させることは現状考えてはおりません。昨年と同じペースで上げていく、アクティブユーザーとして定着させていくことは今年も変わらずと考えております。
――DAUのほうはどういう見通しでしょう?
梅田 DAUも同じような形で考えています。ここは1つ不確定要素があるとしたら、より有料会員にシフトしてペースを上げていくという施策になった場合は、多少DAUが停滞したとしても、有料会員を増やすという選択はありうると思います。しかしそれはまだ決まっているわけではなく、可能性の1つです。DAUと有料会員とはそうした関係にあることだけご認識いただければと思います。
――どうもありがとうございます。

【質疑応答4】「50%の成長ペース」は今後下げるのか

――お話ありがとうございます。まず1点目は、創業以来、50%増の成長を目指しているというお話でした。売上が増えていく中でずっと50%というのも難しいのかなとも思うのですが、これからどの程度の角度を保っていきたいとお考えでしょうか。それとも今後は50%という目標も徐々に下げていくのか、そのあたりを教えてください。
新野 計画において大事にしている目線としましては、毎期50%というよりは、より正確に言いますと、この2〜3年の中で利益率を正常状態である3割にもっていくことを目標設定において重要視しています。その正常収益にもっていく時点で、どれくらいの企業価値を付けるのかを逆算して最低必要な売上も考えているということが正確なところです。
本日、株価はストップ高になったようですが、今の時価総額200億~300億円水準ではない水準、具体的には500億、次に1000億円と目線を持っていますけれども、早期に1000億円くらいを目指さないとM&A等でも世界で戦っていく数字になりません。
そういう数字に早期にもっていくという計算のもとで、売上、利益成長を見ているという形になります。
――ありがとうございます。2点目なのですが、コメントの質といいますかユーザーの質については上場時からお話しされていると思いますが、最近、実際にNewsPicksのコメントなどを見ていると、質が若干落ちてきたのかなとみられることがあります。なかなか本当にいいコメントが見つからないということがあると思うのですが、数がある中での質のコントロールは今後どのようにされていくのか、お教えください。
梅田 我々は3年間、コミュニティ運営ということをやってきましたが、ここにはまず、ウルトラCはないということです。コミュニティに向き合うチームをしっかり作り、細かくコミュニティの温度感を計っていき、丁寧な施策をやっていくということですね。
海外のメディアの方々と話しますと、海外のメディアは当初、コメント欄を付けていたのですが、今はほとんどのメディアがコメント欄を閉鎖しているか、検閲方式でコメントをチェックしてから出すという形になっています。
海外のメディアの方々からすると、なぜ、NewsPicksはこれだけの規模で良質なコメントが集まるんだ、どういうことをしているんだ、ということを一番質問されるんです。海外のメディアを見ていても、コメント欄に対してそこまでコミットしていないんですね。しかし我々はコミットしている。結局はそこが、大きな分かれ目なのかなと感じております。
コメント欄に対するご指摘の点はですね、我々もしっかり把握はしておりますので、そういうご指摘があるという前提で、細かい施策をやり続けるということしか、今は言えないかなと思っております。
昨年末には、プロピッカーの制度を一部改定して、マンスリー・プロピッカーという制度も始めました。これは1カ月に1回、編集部が行う特集テーマに合わせて専門家が入ってくるという形です。これでより気軽に専門家の方々がコメントできる仕組みになりました。プロピッカーのアクティブ数が増えているという数字も出ておりますので、このような施策を引き続き行っていきます。
それからコメント欄で守っていただきたいルールをまとめた、コミュニティ・スタンダードというものも発表いたしました。これはユーザーの皆さんと作っていく、という進め方をしています。コミュニティ・スタンダードを作ってから、明確にクレーム数、通報件数も減っておりますので、こういうことをしっかりとやっていくことだなと、私自身もあらためて感じております。
――ありがとうございました。

【質疑応答5】経営体制変更の真意は

――今回、経営の体制を変えられたということで、その心を解説していただければと思います。
新野 我々は創業以来、ここにおります梅田、稲垣(裕介・取締役COO)、私の3人でずっと経営してまいりまして、その時々でフォーメーションを最適な形で変えております。
このたび、NewsPicksの米国事業や新規事業にさらにコミットしていく中で、どうした布陣が最も適任なのかということを話し合いました。2013年のSPEEDA海外進出の際に、私はシンガポールに移住して海外事業をやりましたけれど、海外に居ながら国内事業を見ていくというのはかなり難しい面もあります。
米国事業にコミットするということは、ある程度、物理的にも海外にいることが多くなってくる中で、そこに集中させる体制をとることが最適だろうと。
稲垣はSPEEDA事業においても、国内の人員が多くなってきてからの組織をしっかり作ってきたというところに、一番のコンピテンシー(能力)があります。NewsPicksも今は50名くらいの体制になってきましたので、彼に組織面を見てもらう。そして梅田に、米国を含めた攻めの部分を見てもらう。この体制が、3人の最大で最適な構成だろうということで、結論に達しました。
――米国に展開するときには、そうなるであろうと、前もって2〜3年前から計画してやってきたものなのでしょうか。それともあるときに、いいアイデアが、ということで決められたのでしょうか。
新野 ことの発端は、私の海外事業立ち上げ経験というものがあります。やはり行ってみた結果、最終責任者が深くコミットしなければ海外事業は立ち上がるのが難しいということがわかりました。その中で米国でのサービスを立ち上げるのは、世界最大のマーケットですので、私か梅田かが絶対行くことになるというのは、そもそも想定内の話でした。
その時期がいつになるかということは、これまではお約束できる段階ではなかったわけですが、いろいろ準備を進める中で、想定以上に米国での展開のスキームが固まり始めてきましたので、思っている以上に早く、梅田が行くことになったということになります。

【質疑応答6】NewsPicksが米国で勝てるポイントは

――2つお尋ねしたいのですが、米国で勝つためのポイント、どういうところが強みになっていると考えられるのか。それから米国への進出について先行投資のようなものが想定されるのか、が1つ目の質問です。
梅田 米国市場は、NewsPicksが参入するのに非常にいいタイミングであると考えております。これは米国でも、日本と同じように、フェイクニュースが非常に大きな社会問題となっていまして、信頼される情報が集まるプラットフォームが非常に求められています。
2つ目は、無料でなく有料のプラットフォームも、メディアの方々から求められているということですね。この時代の流れが、参入するのにいいタイミングであると考えております。
そのために大切なことは大きく2つあります。
1つはピッカーの方々です。米国ではまずはプロピッカーを中心にスタートしていくことも1つの選択肢として考えておりますので、そのピッカーの方々にいかに集まっていただき、コメントしていただけるようにするかということ。それからNewsPicksに配信いただくコンテンツ、信頼性の高いクオリティメディアを含めて、コンテンツがしっかり集まるかどうか。この2つが大きなキーになってくると思います。
先行投資に関しましては、一定の投資はしていく必要があると思っておりますが、基本的には人件費になっていきますので、まずは年内リリースするまでは、今の計画の中でやっていくということを想定しており、これを含んだ計画になっております。
今後さらにアクセルを踏むべきだと、これは一気に立ち上がるということがあれば、追加投資をしていく可能性は当然あるということは、前提として頭の中に入れておいていただけると助かります。
新野 前提として、時間がかかるということをお伝えしておきたいのですが、SPEEDA の海外事業でも、形にするまでに少なくとも3年はかかりました。早期に始めることが、3年後のさらなる成長を牽引します。
新しいチャレンジをする際、我々は常に、スモールスタートで段階的にチェックポイントを設けて投資をしていきます。
いきなり巨大な投資を今期行うといったことはないのですが、まずは最終責任者であり、今の我々にとっては米国版NewsPicksを作る上で最高の人材である梅田を中心に小さなチームを作り、そこから始めるということになります。
――2つ目は、今年の1月に子会社化した株式会社ジャパンベンチャーリサーチについて、改めて狙いと、収益への貢献、期待度についてお願いします。
新野 収益への貢献という意味では、SPEEDAの全体の事業にとってみますと軽微なものとなりますが、戦略的な意味合いという意味では非常に大きなものがございます。
今、世界的に、スタートアップの情報をしっかりデータベース化していこうという流れがあります。どのエリアをどのプレーヤーがおさえるかという中で、我々のマザーマーケットである日本で、ナンバーワンのデータベースを作っていくというのは、世界展開においても重要ですし、また国内事業をしっかり守っていくという意味でも非常に重要ということで、戦略的な意味合いは、収益インパクトをはるかに超えたものであると認識しております。
――ありがとうございました。

【質疑応答6】SPEEDAの採用・人員配置と今後の成長戦略は

――SPEEDAについて20名採用ということですが、その役割や職種は営業が多いのか、それともシステム開発が多いのか、あるいは情報収集のための収集者が多いのか、ということを教えていただけますでしょうか。また今後、法人向けの売上を拡大させていくにあたって、御社のコンテンツで足りないものが何で、今後どういうコンテンツを拡充していくのかというところを教えてください。
新野 人員についてですが、SPEEDAはもともと、10名くらいを最低水準の採用と考えています。その10名というのは、開発人員やアナリスト等の原価の要素になる人員を粗利をみながら、だいたい10名くらいかな、というのが今までの想定でした。
昨年の結果を見てみまして、売上の成長も早いので、採用をもっと営業人員に張ったほうがいいなという結論に達しまして、今年追加の採用投資を決定した10名の主たるところは、営業人員ということになります。
プロダクトは大分できていますので、営業人員を採用することで早く売上が上がり、キャッシュが早く入ってくる。よって引き続き、投資もできるようになるというロジックの中で、アクセルを踏んだほうがいいだろうと思っております。
事業会社様のお役に立つ上でのコンテンツということですが、これは非常に多岐にわたります。今はコンテンツ以上に機能面の拡充が必要かと考えております。
これまで金融機関やコンサルティングファームでずっと使われてきたデータベースというのは、日々それをされている方々に最適化されたものです。しかし、昨今では事業会社様のほうでも、分析・情報取得のケイパビリティをどんどん上げていこうという中で、ニーズが顕在化しつつあります。一方で、事業会社はプロフェッショナルファームと比して、そんなに日々使うわけではないので、彼らにとっていかに使いやすいものを作るか、それが一番大事な面になります。
SPEEDAはもともと使いやすさで駆け上がってきていますので、事業会社の担当者様が使ってみて「プロフェッショナルファームで使っているものは、難しくてよくわからないよ」とう状態から「これは使いやすい、誰でも使える」という状態をまず作っていく、それが一番のキーポイントであると思っています。
――今のお話に関連してなのですが、競合というのは、例えば、日経テレコン、Bloombergなどがあると思うのですが、法人向けのお客さんを取っていくうえで、どういうところが競合で、負けないためにはどういうものを取りそろえていかなければならないと考えておられますか?
新野 まず事業会社様には2つの種類のニーズがあります。1つは企画系といわれる、ほぼプロフェッショナルファームと同じようなことをしている、戦略、競合等を分析をする人たち。もう一方は営業・マーケティング系統になります。
この2つそれぞれに手を打っているわけですが、企画系に関しては、彼らが今何を志向しているかというと、1つは、海外成長をどんどんしていかなければならないにもかかわらず、内部にそれだけの情報ベースがそろっていない、ということです。
もう1つは、国内においても引き続き成長するためには、スタートアップを取り込んでいかなければならない。いわゆる、コーポレートベンチャーキャピタルのニーズが非常に高いんですけれども、そのデータベースもそろっていないということですので、企画系においては海外、そして国内のスタートアップの情報をしっかり蓄えていくというのが大事な点、ということになります。
マーケティングのほうは、要は売上を上げたい。その売上拡大施策を考える際、企業の内部においては売上の情報がありますので、それをSPEEDAの膨大な情報と組み合わせて、最適な売上拡大の分析をする。それがABMソリューションですが、まさにこれから立ち上がっていきますので、この流れの中で、一番早くお役に立てるものを作り切るということになります。
この2つにおいて、競合が仮想でここにあってということよりも、今、お客様のほうでは「やりたいけど、やれない」状態がありますので、そのニーズを早く満たしていくというのが一番大事だと思っています。
あまり競合を意識するというよりは、お客様が一日も早く、これは便利だねという状態にもっていくと、これが一番大事なことであると認識しております。
――ありがとうございました。
司会 お時間となりましたので、以上もちまして説明会を終了します。
新野梅田 ありがとうございました。