自己肯定の本田 控えの自分をどう変えるか
【サランスク(ロシア)=岸名章友】1次リーグH組の日本代表はサランスクで19日午後3時(日本時間同9時)から大会初戦となるコロンビア戦に臨む。この試合で日本選手最多となるW杯通算3得点の記録を持つ本田(パチューカ)は控えに回りそうだ。「スタメンとサブ、どちらでも与えられる役割で(チーム全体の)結果にコミットできると思う」と本田。集大成のW杯で自分に何ができるか、探っている。
本田の強みは自己肯定力なのだと学ばされる一幕があった。オーストリアの事前合宿中。チーム全体も本田自身も出来はよくない状態のころだ。「ここからは自信を過信に変えるフェーズ」と言い切った。過信の前に、自信さえ持てるかも分からないこの状況で?
型にはまることに疑いを持ち、普通の人間なら「道はない」と見なすところに道を見いだす。それが本田のサッカー人生だ。欧州の名の知れぬチームから出発し、トップリーグへステップアップするルートは本田が開拓したものといえる。肯定、可能性の発見、自己変革というサイクルで自分を高めてもきた。
世界基準の「個」をつかむための旅でもあっただろう。「サッカーは最終的には『個』。誰かの一振りが入るかどうか。戦術(だけ)でゴールは決められない。『個』だけを高めるためヨーロッパへ挑戦し続けてきた」
その姿勢は今にいたるまで変わらない。ただ2014年W杯以降は所属していたACミランで出番が減少し、メキシコのパチューカへ移った。世界基準の「個」から遠ざかった現実もある。
それでもACミランではトップ下しか受け入れなかったわけではなく、ウイングにも挑んで可能性を自ら切り開いてもいた。「プレースタイルはプロになって一度も固定したことはない。キャリアの晩年にこれだけ挑戦している選手もいないと思う」。通説に安住するのを嫌う本田のことだから、控え組に回った晩年の自分にも新たな発見を見いだすかもしれない。
現状を「この逆境、おれらしいな」とでも笑って肯定し、再び自分を変えていく。その方が、本田らしくていい。