GE、物言う株主から異例の役員受け入れ
株主重視アピール
【ニューヨーク=稲井創一】米ゼネラル・エレクトリック(GE)は9日、物言う株主で知られるトライアン・ファンド・マネジメントの最高投資責任者(CIO)を務めるエド・ガーデン氏が同日付で取締役に就任したと発表した。株価が低迷するGEは投資家への影響力が大きい物言う株主の取締役就任を受け入れ、株価重視の経営姿勢をアピールしたい意向だ。
「他の投資家と同様にGEの株価には失望している。しかし、GEは長期な投資対象としてかなり上昇余地があると信じている」との声明をガーデン氏は出した。2015年からトライアンはGE株を約1%保有しており、コスト削減を上積みするなどの経営改善策を要求していた。
トライアンは取締役ポストを手に入れたことで、18年末までに20億ドルのコストを確実に削減するなどの株価浮揚策を取締役会でGEの経営執行役に迫るとみられる。取締役に就任するガーデン氏はネルソン・ペルツ氏が代表を務めるトライアンの創設者の一人。
米著名大企業では異例ともいえる物言う株主から取締役を受け入れたGEのジョン・フラナリー最高経営責任者(CEO)は9日、「過去90日、とても多くの投資家と会い市場関係者の見解を得てきた。ガーデン氏とともに仕事ができるのを楽しみにしている」とのコメントを発表した。
フラナリー氏は今月2日、ジェフ・イメルト前CEOから約3カ月前倒しで会長職を受け継ぎ、GEの経営全権を掌握。6日には、ライバルの副会長やイメルト氏側近の副会長2人の退任を発表するなど、現在、経営体制の再構築に取り組んでいる。
今回、取締役派遣を巡りトライアンとGEは水面下で協議を進めていたもよう。フラナリー氏は足元の低迷する株価を踏まえると、一部の機関投資家らの支持を得る物言う株主と対立するのは現状では得策ではないと判断したようだ。大胆なコスト削減に意欲的なフラナリー氏にとっては、むしろ物言う株主の圧力をテコにして、社員の意識変革を促す狙いもありそうだ。
トライアンは米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)に対して取締役の1人派遣を要求している。P&G経営陣は反対しており、10日開催の株主総会では委任状争奪戦が行われる予定だ。