開発プロジェクトの見直しについて①

山田英氏:開発プロジェクトの見直しについてお話しします。とくに重点的なプロジェクトに経営資源を集中させることで、これからの開発を前進させるということでございます。また、製品化までの成功確立や事業性の低下したような案件は、中止あるいは一時中断とさせていただくということで、ご説明申し上げます。

まず、重点的に推進するプロジェクトでございます。

ご存じのように、HGF遺伝子治療薬につきましては、重症虚血肢の適応でございます。国内で実施中の医師主導型の臨床研究を進めてまいりましたが、(2017年)8月1日に、6例目の観察期間が終了いたしました。

もちろん、結果がいいことが前提ですが、今秋にも承認申請したいと考えております。また、2018年中の条件付承認獲得を目指すということでございます。一方、欧米につきましては、引き続き新たな臨床試験の計画を策定しているところです。

2つ目、NF-κBデコイオリゴDNA(アトピー性皮膚炎治療薬)でございます。これは椎間板性腰痛症につきまして、第1b相臨床試験を、米国にて実施する予定です。今年の後半、患者さまの投与を目指すスケジュールで動いております。

3つ目、DNAワクチンでございます。これは高血圧の患者さまの適応症で、第1/2相臨床試験をオーストラリアにて実施しております。今年の後半に、患者さまの投与開始を目指しているところでございます。

開発プロジェクトの見直しについて②

次に、中止・中断するプロジェクトでございます。

HGF遺伝子治療薬の、リンパ浮腫適応でございます。国内の第1/2相試験の結果が出てまいりました。主要評価項目である浮腫の体積に、大きな減少が認められなかったということがあります。現時点において、次の段階にはまず進まないということを、決定したところでございます。

ただし、医師主導治験あるいは臨床研究の実施に際しては、しっかりと協力しながら、良好な結果が得られれば、自社開発の可能性も再考したいと考えております。

2つ目、アロベクチンでございます。これはすでに(発表している)平成25年(8月)の結果です。(提携先の)アメリカのバイカル社が、米国・ヨーロッパを中心としてメラノーマ(悪性黒色腫)を対象に、第3相試験を実施しました。残念ながら、統計学的な有意差が得られなかったということがございました。

その後、(他の)固形ガンへの適応可能性があるのではないかということで、検討してまいりました。しかしながら、抗体医薬が登場して、市場環境が変わってきたということがございました。基本的には、この時点でプロジェクトを継続しないことを決めたところでございます。

2017年度第2四半期 連結業績ハイライト

2017年12月期第2四半期の連結業績ハイライトです。

事業収益が1億6,900万円、事業費用が18億7,100万円ということでございます。

さらに経常損失が16億9,800万円、当期純損失が22億9,900万円ということでございます。この事業収益はご存じのようにナグラザイム®(ムコ多糖症VI型治療薬)で占められるものです。さらにこの中で、投資有価証券評価損の特別損失がございました。

事業収益の内容

事業収益の内容でございます。研究開発事業収益、それから商品売上高でございます。先ほど申し上げたように、ナグラザイム®の売上がこの数字に反映されています。

事業費用の内容

事業費用の合計は、18億7,100万円でございます。ナグラザイム®の売上原価が8,200万円。研究開発費が13億9,100万円、販管費が3億9,700万円ということでございます。

連結貸借対照表 ハイライト

連結貸借対照表のハイライトです。流動資産が38億8,000万円、現金および預金が18億3,600万円。総資産が47億3,800万円、純資産が44億7,900万円ということでございます。

この2017年度に実施した資金調達についてご説明します。第29回新株予約権、第三者割当て増資でございましたが、23億6,400万円の資金調達をさせていただきました。資金使途は、HGF遺伝子治療薬の米国における新たな臨床試験の実施に関連して必要となる費用・DNAワクチン事業推進のための費用・運転資金でございます。

2017年度通期業績見通し

2017年度の通期業績見通しでございます。事業収益が3億6,000万円、営業利益・経常利益・当期純利益が34億円で、当初の数字と変わっておりません。

おもな変動要因でございますが、提携企業からの契約一時金の受領は見込まずということです。また、先ほど数字をお示しした、NF-κBアトピー性皮膚炎治療薬の国内臨床試験関連の費用が減少したということも、変動要因のひとつでございます。