ot

2018年2月16日金曜日

2017年の投資をふりかえって(3)サンリオ(8136)

(当社について前回とりあげた過去記事はこちらです。また本シリーズの前回分記事はこちらです)

当社の株を買ったのは2014年5月で、株価が大きく下落した時期でした。少なからぬリスクがあると承知はしていましたが、その後懸念していたリスクが発現し、昨年2017年6月に全売却するまでの投資成績は、散々な結果に終わりました。本投稿では当社における近年の業績を振り返り、教訓を書き記しておきます。

<株価動向と投資成績について>
現在の株価は1,900円前後です。一方、株の全売却時は2,100円程度でした。平均購入単価は約2,600円で、現物買い持ちだけをみた投資成績は赤字でした。受取配当金とつなぎ売りをしていた時期の利益も含めれば赤字ではないものの、それでも黒字幅はおしるし程度のものでした。投下した資金の割合が小さかったため、ポートフォリオ全体でみた資本効率にはほとんど影響していませんが、結果的には実行する意味のない投資でした。

下図の株価チャート上に、取引時期を示してあります。赤矢印が株式購入、青が売却、緑がつなぎ売り、黄がその買戻しです。

サンリオ株価チャート(2013-2017年)

<業績の概要>
当社が営む主な事業形態は以下の3つです。

a. 自社キャラクターを活用した物販
b. 自社キャラクターのライセンス
c. テーマパーク

当社の前副社長であり、次代を担うはずだった辻邦彦氏(故人)は経営上の重要課題として「b. 自社キャラクターのライセンス」事業の強化を掲げていました。そこで2008年に社外から鳩山玲人(れひと)氏を迎え入れ、海外展開を強力に推進して、劇的な増収増益を果たしました。

(再掲)サンリオ営業利益の推移(2013年度まで)

しかし2014年初に前社長が突然死去したことで、当社の創業者で故人の父親でもある辻信太郎社長が実権を握り直しました。そして鳩山氏が加わった以降の成長路線を覆し、みずからが従来進めていた路線に回帰しました。そのなかで、海外ライセンス事業における鳩山氏主導体制をやめてしまいました。それ以降、すなわちポスト鳩山時代における業績は下図のようになります。

サンリオ営業利益の推移(2016年度まで)

鳩山時代に積み上げられた海外ライセンス契約からの利益は、年を追うごとに減少しています。鳩山氏が注力していた欧州及び米州のライセンス事業が壊滅的で、元の木阿弥となりました。業績不振の理由として当初は『アナと雪の女王』の影響を挙げていましたが、俯瞰してとらえると鳩山氏の尽力が失われたことが大きな要因だと想像します。

なお業績に関してアジア向けライセンスが伸長していること、そして国内アトラクション(=テーマパーク)の赤字幅が縮小してきた点は評価できます。しかし欧米ライセンスの退潮を埋めるまでには至っていません。

経営陣としての権限や海外での担当領域を剥奪されていった鳩山氏は、それでもアニメーションに関する新規事業の責任者として在籍していました。しかし、とうとう2016年5月に取締役を退任されました。退任発表日の翌日に株を全処分すべきでしたが、その事実を真剣に受け止めていなかったせいで、機会をのがしました。

<教訓>
当たり前のことですが、「一般投資家の利益を考えない経営がなされている企業に、投資してはならない」ことを実感しました。鳩山氏以前の時代と同じように、当社における最大のリスクは「経営者リスク」であることを再認識しました。

話は変わりますが、ときに簡易生命表(PDF)を参照することがあります。たとえば、しまむらの創業者である島村恒俊氏は、まもなく92歳になります(生年月日はWikipediaによる)。92歳の平均余命は3.65年となっています。一方、サンリオの現社長は12月に90歳になったところです。90歳の平均余命は4.28年です。

0 件のコメント: