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これからホンダ車の燃費を向上させる鋼板の加工技術

エイチワン、3次元熱間曲げ焼き入れ確立へ。適用車種を拡大
これからホンダ車の燃費を向上させる鋼板の加工技術

3次元熱間焼き入れ(3DQ)技術で角形鋼管を車体骨格部品に加工する設備

 エイチワンは引っ張り強度1470メガパスカルの超高張力鋼板(超ハイテン)材を使った自動車部品の量産化技術を今後数年以内に確立させる。さらに、3次元熱間曲げ焼き入れ(3DQ)技術で角形鋼管を車体骨格部品に加工する設備を改良し、より多くの車種向けに適用できるようにする。強度の高い製品の製造技術を完成させることで、車のさらなる軽量化と燃費向上に貢献する。2017年度の研究開発費は16年度とほぼ同等の約17億円に設定する方針。

 エイチワンは現在、引っ張り強度780メガパスカルや同980メガパスカルのハイテン材を加工し自動車の骨格部品を作りあげる技術を確立している。超ハイテン材に関して、現在は鉄鋼メーカーの提供する試作材での成形技術はすでに開発済み。

 ただ「成形後のカットや穴開けなどの面がまだ仕上がっていないし、実際の車に搭載されるようになるには、試作材ではなく量産材を用いなければ見合わない」(金田敦社長)とし、今後は量産材を使って成形から加工までできる技術の開発に取り組む。

  生産設備は現在、郡山製作所(福島県郡山市)に3台ある。この設備はパイプ加工に用いる汎用設備をもとに製作しており、汎用性を高めて生産コストを抑えるための改良を加える。より低価格帯の車種でも搭載できるレベルにまでしたい考えだ。
日刊工業新聞2017年2月14日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
3DQ技術は、16年に発売されたホンダのスポーツカー「NSX」のフロントピラーに採用されている。電縫鋼管を高周波で加熱し、ロボットで曲げた直後に水で冷やして部品を作る。1500メガパスカル級の強度が出せる上、複雑な形にも加工できる。従来の薄鋼板を使った工法と違い、溶接が不要で、重さも30―50%減らせるという。

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