三菱自の軽4車種、国が認証取り消し検討
販売済みは使用可
三菱自動車の燃費データ改ざん問題で、国土交通省が改ざんがあった「eKワゴン」など軽自動車4車種について、生産・販売に必要な国の認証「型式指定」を取り消す方向で検討を始めたことが29日、関係者への取材で分かった。
三菱自は4車種の燃費性能を良く見せるため、机上で計算した軽い抵抗値に改ざんするなどしており、国交省は悪質性が高いとみている。
道路運送車両法は、安全基準への適合や性能水準の維持ができない場合、指定を取り消すことができると規定し、取り消された車種は走行ができなくなる。三菱自は改ざんがあった軽4車種の生産・販売を既に中止している。
販売済みの約62万5千台は、排ガス性能などの安全基準を満たしているとみられる。国交省は取り消し範囲を限定できる同法の規定を適用し、販売済み分は型式を残し、所有者が乗り続けられるようにする方針。
自動車の型式指定制度はメーカーが新車を生産する際にまず国へ申請し、サンプルの車を提示し安全基準に適合しているか審査を受ける。国は審査し、基準を満たす品質を担保できると判断すれば型式指定する。
指定が取り消されると新車は一台一台、車検を受けなければならず、メーカーは実質的に量産できなくなる。生産・販売するには型式を取り直す必要がある。
国交省は、改ざんがあった軽4車種について来月2日から、燃費や排ガス性能の算出に必要なデータを調べる試験を独自に始める。試験の結果を踏まえ、型式指定の取り消し処分を言い渡す見通しだ。また、同省は再発防止に向けた作業部会を設置し、メーカーへの抜き打ち試験を検討するなど検査方法の見直しを議論している。