皮膚に貼る注射剤の「マイクロニードル」は、美容・医療分野の新技術として各社が開発を進めている。化粧品用としては既に商品展開が進んでおり、医薬品用途ではワクチン向けなどで大きな市場規模が見込まれ、実用化に向けた動きが急がれている。株式市場でも今後に大きな関心を集めると予想され、関連銘柄をマークしたい。

マイクロニードルは微細な突起(針)を配したシートを皮膚に貼り、針を通して有効成分が肌に染み込む仕組み。化粧品用途で普及し始めているほか、医薬品向けにも動物実験などが進められている。

成分そのものを針状にして皮膚に溶け込ませるタイプのほか、プラスチックなどの針を通して成分を浸透させるものもある。いずれも、従来は注射でしか投与できなかった薬剤などを無痛で体内に取り込むことができ、将来的には医療従事者なしで投与ができる可能性もあることから、「貼るワクチン」として関心が高い。

NISSHAは化粧品向け注力

マイクロニードル
(画像=puhhha/Shutterstock.com ※写真はイメージです)

この技術は先行して化粧品分野で応用されている。NISSHA(7915)では、シートを貼ることでヒアルロン酸などの成分を肌の角層に直接働き掛ける美容液を開発。健康食品や化粧品を手掛ける北の達人コーポレーション(2930)も、ヒアルロン酸が浸透するマイクロニードル商品が人気を集めており、2011年にマイクロニードル商品を発売済みの資生堂(4911)の取り組みにも注目が集まっている。

化粧品では、しわ改善や美肌効果の期待される基礎化粧品が人気化し、インバウンド(訪日外国人観光客)需要も拡大している。このブームは当面は続くと思われるだけに、マイクロニードル商品の注目度が高まれば、各社が競って関連商品を展開することも考えられる。

一方、医療向けでは、富士フイルムホールディングス(4901)やニプロ(8086)が浮上する。富士フイルムでは中期経営計画でマイクロニードルを注力事業に位置付け、国立感染症研究所や大阪大学などとの産学共同プロジェクトを発足。早期実用化のための研究開発に取り組んでいる。また、ニプロはワクチンやバイオ医薬品向けのマイクロニードル治験薬の製造ラインを昨年4月から国内工場で稼働、量産を可能にしている。

創薬ベンチャーのメドレックス(4586・M)はマイクロニードルの新工場建設を目的とした43億円超の資金調達を行う。同社ではマイクロニードルの市場規模について、ワクチン用途だけでも1兆円規模に成長すると見通しており、23年ごろまでの製品化を目指す方針だ。

また、車載電装品で知られるASTI(6899・(2))にも注目したい。同社は精密射出成形技術を応用し、プラスチック針のマイクロニードルを開発。剣山タイプのほか、両頭針、ルアーコネクタータイプなどを手掛けている。「医薬品メーカーと交渉を進めている」(ASTI)といい、提携が実現すれば株式市場でも話題を集めそうだ。

このほか、東レ(3402)も子会社で医療用のマイクロニードル製造装置を開発している。(4月19日株式新聞掲載記事)

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