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【特集】<話題の焦点>=開発進む人造肉は将来の有望テーマか

三井物 <日足> 「株探」多機能チャートより
 途上国や新興国の経済成長を背景に、2050年に世界の総人口は現在の76億人から90億人を突破すると予測されている。当然、食糧の需要も増加しているが、特に増えているのがタンパク質の需要だ。

 新興国では、豊かになった消費者が肉の摂取を増やし、子どもにより多くの乳製品を与えている。一方の先進国では消費者の健康志向の高まりで、パンやシリアルなどの炭水化物を減らし肉や卵といった動物性タンパク質を増やす傾向にある。タンパク質の世界需要は50年には現在から倍増するといわれており、これへの対策が急務となっている。

 一方で、こうしたタンパク質の需要拡大に対して、従来の家畜型の食肉生産では対応できないという見方が増えている。飼料の製造・加工過程や家畜の排せつ物などから発生する温室効果ガスは温暖化の主な原因ともなっており、環境意識の高まりから従来型の畜産業を大きく拡大させるのは難しい。また、健康志向の高まりや動物愛護、宗教的要素などからくる逆風も年々厳しさを増している。

 こうしたなか、活発化しているのが「人造肉」への取り組みだ。日本企業ではまだ少ないものの、世界的には植物性食品だけを材料とするハンバーガーや、幹細胞から動物組織を培養する研究室育ちの肉まで、米国を中心にさまざまなスタートアップ企業が存在する。

 例えば、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏傘下のベンチャー・キャピタル(VC)や香港の長江実業創設者の李嘉誠氏傘下のVCが出資する米インポッシブル・フーズは、大豆などに含まれる肉独特の味を再現する成分に着目し、味はもちろん肉独特の匂いや肉汁まで、大豆や小麦、ココナッツオイルなどの植物性食品で再現している。米国では既にこうした人工肉が大手スーパーやハンバーガーショップで販売され、一部ではヒット商品になっているという。

 日本企業では、みそで有名なマルコメ(長野県長野市)などが大豆を使った人工肉を手掛けているが、本格的な取り組みはまだこれからといったところ。ただ、インポッシブル・フーズ同様に植物由来の人工肉を使った「ビヨンド・ミート」を手掛ける米サベージ・リバーには三井物産<8031>が出資しており、今後もこうした米ベンチャーへの出資や提携などのケースは増えそう。また、将来的に培養肉の研究が進めば、バイオベンチャーなどの活躍の場も広がろう。

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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