郵政株の2次売却、国内・海外とも販売にめど=市場関係者

[東京 21日 ロイター] - 日本郵政<6178.T>株の2次売却は、機関投資家や個人投資家からの需要で国内分と海外分ともに全て販売できる見通しとなった。複数の市場関係者によると、販売予定株数の20%を割り当てた海外分は今月14日時点で売却先を確保、80%を占める国内分も21日までに全株売却に十分な需要が積み上がったという。
今回の郵政株の売り出し額は最大1.3兆円に上る見通しで、国内株式市場における昨年の年間調達額の6割に匹敵する。幹事団の中には売却見通しが立っていない証券会社もあるが、全体では十分な需要を確保しており滞りなく販売できるとみられている。大規模な売り出しであるため消化難を予想する声もあるが、関係者によると今月中旬からのブックビルディングでは、投資家から郵政株の需給や資産株としての安心感を評価する声が出ていた。
海外分にはインデックス運用の投資家が中心となり札を入れているほか、パッシブファンドの買い入れを予想するヘッジファンドも関心を示している。日本郵政は10月2日に日経平均の新しい銘柄としての採用される予定で、2500万株の買い入れ需要が予想されている。
日経平均以外でも、FTSEへの採用で1800万株、TOPIXで4300万株、MSCIで6300万株などのインデックスに関する買い入れが見込まれ、郵政株の買い需要は合わせて「出来高の50日分」(機関投資家)になる見通しだ。
あるヘッジファンドのポートフォリオマネジャーは「パッシブ需要もあり、ディスカウントのスプレッド分だけでも利益がとれる」とブックビルディングに参加した理由を説明する。
個人投資家からの需要は「自然体で積み上がっている」とシンジケート団の証券会社の担当者は話す。2015年11月の上場時のような過熱感はなく、参加を決めかねている投資家もいるものの配当利回りに注目した買い需要は悪くない状況。日本郵政の成長可能性への期待よりも、資産株としての魅力が個人投資家の関心を誘っているようだ。
一方で、先行きに否定的な声もある。上場の際に郵政株を購入した日系生命保険会社の運用担当者は、成長戦略が欠如しているとして2次売却には参加しないと話した。
今回の売却については、規模が大きいわりにマーケティング期間が短いとの指摘は少なくない。国内分、海外分ともに全体の需要は確保されているが、引受金額が比較的多い証券会社の中にはなお自社での販売に苦戦を強いられているところもある。

DealWatch 小澤美穂、二村慎子 編集:北松克朗

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