日本郵政、19年3月期は当期利益28%減予想 ゆうちょ減益が重し

日本郵政、19年3月期は当期利益28%減予想 ゆうちょ減益が重し
 5月15日、日本郵政は、2019年3月期の連結当期利益が前期比28.4%減の3300億円になりそうだと発表した。低金利下の運用難で、傘下のゆうちょ銀行の減益見込みが業績の重しとなる。写真は日本郵政のロゴマーク。2017年1月撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon/File Photo)
[東京 15日 ロイター] - 日本郵政<6178.T>は15日、2019年3月期の連結当期利益が前期比28.4%減の3300億円になりそうだと発表した。低金利下の運用難で、傘下のゆうちょ銀行<7182.T>の減益見込みが業績の重しとなる。
ゆうちょ銀の19年3月期の当期利益は前期比26.3%減の2600億円の見込み。ゆうちょ銀の池田憲人社長は15日の会見で、現在の低金利が「どこかの時点で楽観的に転換するとは思っていない」と述べ、厳しい認識を示した。
郵政の18年3月期の通期連結最終損益は4606億円の黒字。豪物流子会社トール・ホールディングスに係るのれんなどの減損処理で最終赤字となった17年3月期から一転、黒字に浮上したが、19年3月期は傘下の3社がそろって減益予想。かんぽ生命<7181.T>の当期利益は前期比15.7%減の880億円、日本郵便は同22.9%減の450億円を見込む。
<新中計「最も厳しい3年間に」>
日本郵政は同日、20年度を最終年度とする新たな中期経営計画を発表。20年度の当期利益見通しを4100億円以上とした。
しかし、郵政の長門正貢社長は会見で、新中計期間が「最も厳しい3年間になると思う」と述べた。グループの利益をけん引するゆうちょ銀の20年度の利益見通しは2800億円。低金利の持続で国債などの利息収入が落ち込むと予想し、一時要因を除いた実質ベースの17年度の当期利益3107億円を下回るとした。
郵政はこれまでも国債中心の資産運用からの脱却を進めてきた。ゆうちょ銀、かんぽ生命の3月末時点の国債保有比率は17年12月末時点に比べていずれも低下。ゆうちょ銀の国債保有比率は30.2%(17年12月末は30.5%)、かんぽ生命は51.5%(同52.3%)となった。
郵政は、運用の多様化を一段と進めるほか、ゆうパックの取り扱い拡大や運賃の適正化で減益分を補う方針。リスク性資産残高を17年度末の79兆円から20年度末は87兆円程度に、不動産ファンドなど「戦略投資領域」の残高を同じく1.6兆円から8.5兆円まで拡大する計画だ。
また、グループの成長につなげるために幅広い分野で資本提携やM&A(企業の合併・買収)を検討すると明記。20年度までの3年間で数千億円規模の投資も視野に入れる。

和田崇彦

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