81歳社長が率いるMマートの次なる事業構想 村橋孝嶺社長にビジネスモデルを聞く

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Mマートがの今後の事業構想は?(写真:Signifiant Style)

飲食業での経験から流通インフラを刷新する必要を感じた村橋孝嶺社長が64歳で起業したMマート。同社は、飲食のBtoBに特化したインターネットマーケットプレイス事業に取り組んでいます。64歳で、それまで馴染みがなかったインターネットを用いて、流通サイトを始めた経緯や成功要因、今後の事業構想について、村橋孝嶺社長にお話を伺います。

2000年創業のMマートは、時代の変化にもかかわらず飲食業界において食材流通のインフラが整理されておらず、卸売店と飲食店がマッチングされないという問題に対して、情報を整理しオープンにしたBtoBに特化したインターネットマーケットプレイスを展開し、流通を変革するためのインフラとなることを目指している。2018年2月に東京証券取引所マザーズ市場に新規上場。証券コードは4380。

ベテラン飲食店経営者として感じた流通の課題

小林賢治(シニフィアン共同代表。以下、小林):2000年にMマートを創業されたとのことですが、どのような課題感を持って起業されたのですか?

当記事はシニフィアンスタイル(Signifiant Style)の提供記事です

村橋孝嶺(Mマート社長):私はもともと飲食店を長く経営してきました。20歳で起業してから、50年近くになります。バブル崩壊以降に「中抜き」という言葉で、卸の仕組みに対する批判が出始めました。その頃は、飲食店にとって仕入れ先を探すことが難しい時代でした。肉屋さんなら畜産系、魚屋さんなら水産系というように仕入れ先が分かれているため、数十社から仕入れないといけないわけです。これは非常に不便です。しかも配達してくるのは営業マンではなくトラックの運転手なので、配達した人に詳しいことを問い合わせてもわからないわけです。どんな商品があるのかを聞いても値段のついていないリストを渡されるだけ、ということもありました。それが1990年代の現実でした。

他にも、例えばお米屋さんが混ぜ物をすることもありました。銘柄品を注文しても100%銘柄品ではないわけです。「この質の米であれば、キロあたりいくら払う」という約束をしているのに、混ぜ物をされて質が低いことがあります。そういったことが日常茶飯事でした。

当時から、こんなことを続けてちゃんとした流通ができるのかなと疑問を持っていました。飲食店から見た当時の流通の仕組みは、あまりにも効率も、質も、悪かったわけです。

小林:卸す側が、混ぜ物をされても気付かないほうが悪い、というスタンスだったんですね。

村橋 孝嶺((むらはし こうれい)/株式会社Mマート代表取締役社長。1936年生まれ。東京都出身。飲食業界に務め20歳で独立、飲食店を経営。2000年株式会社Mマートを設立。代表取締役に就任。以降、現職(写真:Signifiant Style)

村橋:そうです。我々は長年の経験でわかりますが、アルバイトが多い厨房だとわからないわけです。お米屋さんを注意すると何週間かは普通に戻りますが、しばらくすると元の木阿弥になります。そこで、新しい仕入れ先を探すことにしました。

しかし、電話帳で探してみても「新宿には配達していません」だとか、「業務用はやっていません」ということになってなかなか見つかりません。そこで使ったのがインターネットです。

1990年代はちょうどインターネットが普及しだした頃でした。年末遊びにきた息子にノートパソコンを借りてはじめてパソコンを触り、食材卸サイトを探しました。

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