九大発VB、3億円調達 ゲノム編集を商業利用へ
九大発ベンチャーのエディットフォース(福岡市、中村崇裕社長)は11日、QBキャピタルなど3社から計3億円を調達したと発表した。これまでの基礎研究で培った「ゲノム編集」の技術をテコに、商業利用に向けた動きを加速する。
QBキャピタルと東京大学エッジキャピタル(東京・文京)、KISCO(大阪市、岸本剛一社長)の3社に対し、5日付で総額3億円の第三者割当増資を実施した。出資比率などは非公表。
エディットフォースは九大農学研究院准教授の中村氏が2015年に立ち上げたバイオベンチャー。同社が持つ、たんぱく質を使ったゲノム編集技術を活用することで、農作物の栄養価を従来より引き上げたり、アレルギー物質を取り除いたりできるようになる。中村社長によると「ジカ熱やエボラ出血熱などRNA(リボ核酸)ウイルスの検出や破壊も可能になる」という。
生物を構成する遺伝子情報を自在に書き換える「ゲノム編集」の技術で、日本は海外勢に出遅れている。エディットフォースは「世界で唯一RNAの編集技術を有している」といい、日本のバイオ産業に風穴を開ける可能性がある。QBキャピタルの本藤孝・代表パートナーは出資の理由を「世界と戦える武器を、日本で唯一持った企業と判断したため」と説明する。