ドゥテルテ氏、トランプ氏擁護「グローバル化の被害者」
【ダナン=岸本まりみ】フィリピンのドゥテルテ大統領は9日、ベトナム・ダナンで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)のCEOサミットで「米国はグローバル化の最初の被害者だ」と話した。自由貿易を推進する目的のAPECで、保護主義を強めるトランプ米大統領は批判される恐れもあるが、あえて"擁護"することで対米関係を深めようとの狙いがありそうだ。
観客からの「反グローバル、保護主義の台頭にAPECとしてどう対応するべきだと思うか」とトランプ氏批判を誘ったような質問に対し、ドゥテルテ氏は中国の安い労働力や法人税を求めて米国企業は米国を離れたことについて言及し、「米国はグローバル化の最初の被害者で、トランプ氏は元の姿に戻そうとしている」と話した。
フィリピンは10~14日まで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳関連会議と東アジア首脳会議の議長国。当初欠席する予定だったトランプ氏は3日に一転して東アジア首脳会議に参加する方針を示しており、良好な関係を維持したい思惑もあるようだ。オバマ政権時代はドゥテルテ氏が米国に対して繰り返し悪態をつき、米国との関係が悪化していた。ドゥテルテ氏は「うまくいけば来週、もう一度議論が始まる」と話し、交渉に意欲を示した。
ドゥテルテ氏は演説でもグローバル化の悪影響について言及。「我々は原材料のみを先進国に送り、完成品を輸入してきた。我々の原材料価格の4倍の値段でだ」と主張し、「グローバル化は後に取り残された国からの剥奪で、是正措置が必要だ」と強調した。