田中化学研究所、電池部材増産へ工場新設 材料加工能力を倍増
田中化学研究所は13日、主力の電池向け正極材の増産に向け、原材料の加工工場を福井市の本社敷地内に新設すると発表した。総投資額は約18億円で、2018年8月の稼働を予定。具体的な生産能力は非公開だが、従来の2倍程度の材料を加工できるようになる。
新工場は、正極材に使うニッケルやコバルトなどの金属を硫酸で溶かす工程をこなす。今回は第1期投資の位置付けで、2期投資も検討している。詳細は今後詰めるが、1期工場で溶かした金属を化学反応させる設備を増強したい考えだ。
足元で電気自動車など環境対応車用の電池を生産する日・中・韓のメーカー向けに需要が回復し、追加の投資が必要だと判断した。業績不振で近年は投資を抑えてきたが、今期は黒字が確保できる見込みになったことも決断を後押しした。
同日、18年3月期の単独業績予想の上方修正を発表した。最終損益は従来予想の2倍となる4億円の黒字(前期は6億4000万円の赤字)で、2期ぶりに黒字回復が見込めそうだ。4~9月期に原材料の国際相場が上昇基調で推移したため、上昇前に製造した在庫分で販価との差額が含み益となった。
茂苅雅宏社長は「10~3月期分は考慮していないため、さらなる上積みを目指したい」とした。
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