量子コンピューター、NTTがクラウドで一般公開
NTTは20日、国立情報学研究所などと共同開発した新原理の量子コンピューターをクラウドのシステムとして、27日から一般公開すると発表した。量子コンピューターは世界で開発競争が起きており、NTTなどは利用者の意見を踏まえながら実用化を目指す。
2016年10月に発表した「量子ニューラルネットワーク」と呼ぶ、光の物理現象を利用した計算機を、データセンターに設置できるほどに小さくした。クラウドのシステムとして実装することで、ネットワークを介して利用できる。
量子ニューラルネットワークは、光ファイバーの回路内部で約2000個の光のパルス信号が周回し、パルス同士が相互作用しながら高速で問題を解く。複数の町を訪れるときの最短ルートを突きとめるなど、膨大な選択肢から最適の組み合わせを見つけることに適した計算能力を持つ。
現在のコンピューターの仕組みでは、こうした分野の計算だと計算量が爆発的に膨らむため、なかなか解けない。量子ニューラルネットワークを利用すると、わずか数ミリ(ミリは1000分の1)秒で解けるという。
量子ニューラルネットワークは医薬品開発や画像解析といった分野への応用が期待されている。一般利用者にシステムを開放することで、応用分野への適用を加速する。