起業家1位はメガカリオンとラクスル フォーブス日本版
経済誌フォーブスの日本版「フォーブスジャパン」は1日、日本の優秀なスタートアップ企業を選出する「スタートアップ・オブ・ザ・イヤー2018」の表彰式を東京都内のホテルで開いた。日本の起業家ランキングでは、iPS細胞から血小板を作製するメガカリオン(京都市)の三輪玄二郎社長、ネット印刷、物流サービスのラクスル(東京・品川)の松本恭摂社長が同率1位に選ばれた。
メガカリオンは2011年の創業。京都大学や東京大学の研究成果を元に製薬・化学関連の大手企業とも連携。iPS細胞を使い、血液の成分である血小板を量産する技術を世界で初めて確立した。20年の実用化をめざす。ちょうど60歳で起業したという三輪社長は自社について「還暦のスタートアップ」と紹介。起業の際に米ハーバード大学の教授から「30~70代の起業の成功確率に差はない」と励まされたエピソードを披露し、「70代になってもスタートアップに挑戦したい」と話した。
ラクスルは09年の創業。シェアリングエコノミーを活用した印刷、物流サービスを展開する。これまでに累計で79億円の資金を調達し、ヤマトホールディングスとも資本提携している。松本社長は「中国はここ3~5年でユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)がたくさん出ている」と指摘。「古い産業にインターネットを持ち込んで日本発のイノベーションを作っていきたい」と語った。
3位は宇宙ゴミの回収を目指すアストロスケール(シンガポール)の岡田光信最高経営責任者(CEO)だった。ランキングはマネックスグループの松本大社長ら企業経営者やベンチャー投資家が議論して選定した。事業の社会性やグローバルで活躍できるか、時価総額が1000億円を超えられるような成長性があるかどうかなどを考慮した。
起業家ランキングは今年で4回目となるが、新たな試みとして中高生向けに社会課題の解決策を競うソーシャルビジネスアイデアコンテストも開催した。受賞したのは福島県立福島高等学校の太田裕亮さんら4人のチーム。「好適環境水」と呼ばれる養殖技術を活用して陸上でウナギを1万匹育てる事業を発表した。世界の食糧不足の解決や地域の活性化につながる点や、高校生の枠にとらわれない斬新なアイデアに会場は大きな拍手で包まれた。