慶大先端研、損保ジャパンと連携 社会課題解決へラボ
慶応大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)と損害保険ジャパン日本興亜は9日、包括連携協定を結んだと発表した。健康で豊かな社会の実現に向け、先端科学技術を活用して社会課題の解決をめざす中長期的な取り組みを始める。損保ジャパン日本興亜は5月をメドに先端研内に「ビジネスラボ鶴岡」を新設する。
協定は、健康寿命の延伸など社会課題の解決と革新的な人づくりの2つが主な内容。「唾液によるがん診断」「血液によるうつ病診断」など先端研から生まれてきているヘルスケア技術を社会に普及させる取り組みのほか、文系・理系にとらわれない、新たなことに挑む人材育成の環境づくりを進める。
損保ジャパン日本興亜は、保険にとらわれずに「安全・安心・健康」を届けることなどをテーマに、昨年12月に「ビジネスクリエーション部」を設置しており、鶴岡に新設するラボには同部から最低2年の長期常駐社員2人を派遣する。
先端研と損保という異例の顔ぶれの組み合わせだが、目先の保険商品開発ではなく、地域や社会への貢献を長期的な取り組み。「20年後の日本を支える人材、ビジネスを考えていきたい」(冨田勝所長)
先端研はITを駆使した新たな生命科学「統合システムバイオロジー」のパイオニアで、世界で初めて人工クモ糸の開発に成功したスパイバーなどベンチャー企業も相次ぎ誕生している。