「私」が奪われる データの世紀 15日から連載
データが主導する新たな経済「データエコノミー」が急膨張する。ヒト・モノ・カネが生み出す情報資源はかけ算の原理で増え続け、企業や国、そして世界の秩序を変え始めた。かつての産業革命に匹敵するとされるイノベーションは私たちにも変革を迫る。
【1】超情報社会 危うい進歩7月16日(月) 買い物から株式投資、シェア自転車、無人コンビニまで、スマホ1台で済む独自の情報インフラが中国で広がる。無料で便利なサービスが世界で普及するが、ユーザーが払う代償は小さくなかった。
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【2】最適な広告 心を支配7月17日(火) 企業の効率的な販売促進のために生まれたターゲティング広告。SNS(交流サイト)と結びつき、消費者の潜在意識にまで訴え掛ける技術に進化した。それが政治にまで使われたとき、何が起こるのか。
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【3】AI依存どこまで7月18日(水) 大量のデータを操る人工知能(AI)が想像を超えるスピードで進化し、人知を超えた力を持ち始めた。日常の生活から人生そのものまで、全てがAIに支配される時代がすぐそこに。
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【4】消え去る業種7月19日(木) 企業の競争はシェアや技術力を競う時代から、いかにデータを活用していくかに移る。異なるデータをかけ合わせる動きも広がり、業種の概念が消えていく。
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【5】高騰する民主主義7月20日(金) ありもしないニュースに、ボットが自動生成した口コミ、そして偽フォロワー。ネット空間にフェイクがあふれ出す。ノイズが増えすぎれば、いつか民主主義は機能しなくなる。
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データ資源は21世紀の「新たな石油」といわれる。企業や国の競争力を高め、世界の経済成長の原動力となる。一方、膨大なデータを独占するIT(情報技術)企業への富と力の集中や、人工知能(AI)のデータ分析が人の行動を支配するリスクなど人類が初めて直面する問題も生んだ。
連載企画「データの世紀」とネット社会を巡る一連の調査報道は、大きな可能性と課題をともにはらむデータエコノミーの最前線を追いかけている。