報道発表資料

(お知らせ)渋谷区代々木山谷小学校におけるタブレットを活用した「新たな学び」共同実証の初期報告
<2016年8月31日>

株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)と渋谷区教育委員会(以下、渋谷区)は、渋谷区が提唱する「渋谷区教育大綱」基本方針21 を踏まえた「ICT教育の推進」の実現をめざし、LTEの通信機能を搭載したタブレット(以下タブレット)の導入により、場所や時間を選ばず、ネットワークを介して児童同士や、児童と教師がコミュニケーションをとりながら協働的に学習を行う「新たな学び」の有効性の検証を目的とした共同実証(以下、本実証)を、2016年5月より渋谷区代々木山谷小学校の5年生を対象に行っています。

これまで、教育現場で導入したタブレットを家庭学習で活用しようとしても、家庭によりインターネットの契約等の状況が異なるため、ICTを活用した協働的な学習の展開まで進まず、個人の学習の活用に留まるという現状がありました。
本実証は、ICT教育の第一人者である放送大学中川教授監修のもと、児童1人につき1台のタブレットを学校の授業だけでなく家庭学習においても導入して実施するものです。児童はタブレットを活用して、個人の作成したノートをネットワークを介して共有することが可能な協働学習ツール「コラボノート」2 により、学校に留まらず家庭学習においても児童同士が互いのノートを参考にしたり、コメントをし合ったり、また教師が児童にアドバイスを書き込む等のサポートを行うことで、協働的に学習する「新たな学び」が有効であるかどうかの検証を行います。今回、タブレット導入1か月後の初期の児童の学習取り組み状況および意識調査が終了したため報告いたします。

また、今後は協働学習のほか、個人の学習をサポートする個別学習ツール「スタディサプリ」3 や、教育市場のニーズを捉えたプログラミング学習用のプログラム4 を活用し、その利用状況や児童の意識調査についての報告も行う予定です。

  1. 渋谷区が2015年度に発表した渋谷区教育大綱の基本方針2では、「『学力の向上』と『個性の伸長』を目指す教育の推進」が提唱され、基礎基本となる知識の定着を図り、知識の応用力、活用力を育み、日本の文化と伝統をアイデンティティとし、グローバル社会を生き抜く「知恵を身につけた社会人」を育成する教育を推進する、と定められています。
  2. 株式会社 ジェイアール四国コミュニケーションウェアが開発した協働学習ツールで、ネットワークを介してノートを共有しそれを児童同士で参考にしたり、児童同士のコメントや教師のアドバイスを書き込むことが可能です。
  3. 株式会社リクルートマーケティングパートナーズが開発した学習ドリルで、1人1人に合わせた個別学習や学校での自学をサポートするオンライン学習ツールです。
  4. 株式会社 CA Tech Kidsが開発したプログラミング学習用のプログラムで、論理的な思考力を身に付けることが可能です。

別紙1 本実証概要

1. 目的

タブレットを1人1台活用することで、学校授業や家庭学習において各児童が同じネットワーク環境を活用した協働的な学習を行う「新たな学び」の有効性を実証します。

2. 実施期間

2016年5月13日(金曜)から2017年3月31日(金曜)

3. 実証対象

渋谷区代々木山谷小学校 5年生52名
(児童数については2016年8月15日現在)

4. 本実証及び報告内容

以下、3回に分けた実証を行い報告します。

  1. 初期実証の報告(今回)
    タブレット、コラボノートを導入直後の学校授業及び家庭学習での利用状況と児童の意識を調査。
  2. 中間実証の報告
    タブレット、コラボノートの習熟後、夏休み期間を含む学校授業及び家庭学習での利用状況と児童の意識を調査。
  3. 最終実証の報告
    • 「新たな学び」の実現に有効な実践例を提示。
    • 学習ドリル教材「スタディサプリ」、プログラミング学習用のプログラムを活用した利用状況と児童の意識を調査。

5. 利用ツール

  • Windowsタブレット「ARROWS Tab Q506/ME」
  • ネットワークを介して個人のノートを共有可能な協働学習ツール「コラボノート」
  • 学習ドリル教材「スタディサプリ」
  • プログラミング学習用のプログラム

別紙2 初期報告

1. 取り組み状況

タブレットを1人1台導入し、協働学習ツール「コラボノート」を学校授業、家庭学習において約1か月活用した初期状況を検証。

  1. 活用内容
    • 学校授業
      学校内授業の理科、国語、総合等の授業において児童1人1人の意見の集約や、意見を伝え合うツールとしてコラボノートを活用。
    • 家庭学習
      家庭学習の課題に対し、児童はそれぞれコラボノートを活用し成果物の共有をすると共に、他の児童の成果物についてコメントし合う等して活用。
  2. 検証結果
    学校授業だけではなく家庭学習においても、児童はコラボノートを活用して他の児童のノートを参照して考えを取り入れながら、自身の課題に取り組んでいる。
参考:家庭学習の課題実践例

①家庭科の課題実例
授業で学習したゆで卵、青菜のおひたしを各家庭で実践

  • 児童はそれぞれ家庭で調理を実践し、コラボノート上に調理した画像とコメントを共有し、相互に閲覧する。

②理科の課題実例
授業で学習した「雲の動きと天気」について翌日の天気を6日間予想

  • 児童はそれぞれ上記の課題について、コラボノート上に天気を予想。
  • 児童は共有された他の児童のノートを閲覧し自身の予想の参考にする。
  • 共有されたノートに、教師は赤字でコメントやアドバイスを行う。

2. 児童の意識調査結果

  1. 導入後1か月の活用初期であるが、学校授業と家庭学習の活用時間はほぼ同等であり、家庭でも意欲的に関わっていると考えられる。
  2. 協働的に取り組む学習について、児童の反応は概ね肯定的である。友達のノートを見ることで良い刺激を得たり、友達からコメントをもらうことでやる気につながったというコメント等、肯定的な評価をする児童が多く、意欲的に関わっていると考えられる。

<参考文献>
小林祐紀,佐藤幸江,村井万寿夫,中川一史(2016)ネットワークを介して協働的に行う家庭学習の実際と児童の意識(1)ー実施後約1か月の実施状況と児童の変容ー,日本教育メディア学会研究会論集第41号,pp.73-78

参考

本実証イメージ

提供イメージ図

各者の役割

提供イメージ図

本共同実証は、以下の協賛企業の協力を得て実施しています。

協賛企業の一覧表
企業名 役割
株式会社 ジェイアール四国
コミュニケーションウェア
協働学習で活用する「コラボノート for School」の提供
富士通 株式会社 Windowsタブレット「ARROWS Tab Q506/ME」の提供
富士電機ITソリューション株式会社 タブレット故障対応及び操作支援等、学校現場のサポート
エム・ティ・プランニング 株式会社 学校内で活用するタブレット充電保管庫「Tablet*Cartシリーズ」の提供
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ 個の学習をサポートするオンライン学習ツール「スタディサプリ」の提供
株式会社 CA Tech Kids プログラミング授業の提供(今後実施を予定)

  • 各社名、商品名、製品名は各社の商標または登録商標です。

報道発表資料に記載された情報は、発表日現在のものです。仕様、サービス内容、お問い合わせ先などの内容は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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