株式こうみる:ワクチン遅れが重し、グローバル企業に物色向かう=マネックス証 広木氏

[東京 17日 ロイター] -
<マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木隆氏>
米株が大幅続伸となったにもかかわらず日本株が売られたのは、新型コロナウイルスワクチンの国内接種の遅れから、市場のセンチメントが悲観に傾いていることが主因だろう。経済正常化に向かう欧米と真逆にある日本の状況を踏まえれば、素直な反応ともいえる。
高齢者への接種開始や大規模接種の動きがあるが、予約もままならないと連日報じられており、国内景気の回復は見通しにくい。1―3月GDP1次速報の発表を控えているが、マイナス成長となれば、海外との格差がますます意識され、値を戻しても戻り待ちの売りに上値を押さえられやすくなる。 目先では、自律的な下げ止まりを待つほかない。足元で日経平均の予想PER(株価収益率)は14倍程度に低下しており、少なくとも割高ではない。2万7500円より下に振らされる理由は、あまりない。株価を冷静に見て「買えるレベル」との認識が市場に広がるかがポイントだ。
日本企業には、国内景気との相関が相対的に低いグローバル企業も多く、物色の対象になりそうだ。きょうもトヨタ自動車やソニーグループは買われた。工作機械受注の発表などで機械株に物色が広がるかもしれない。高齢者のワクチン接種が順調に進んで7月末の完了にめどが立ってくれば、下値も固くなる。

平田紀之

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