インタビュー
課題
ネットスクール代表取締役社長 桑原 知之氏
「全国で平等に勉強できるようにすること」を目標に掲げるネットスクール。桑原社長は「全国平等に勉強できる媒体とは、本とWEB。そこでまず良い本を提供して、勉強してもらうことから始めた」と振り返る。
だが書籍だけでは、受験生は疑問を解消することができない。 そこで2007年、同社の書籍を買った受験生が、著者である講師に直接質問できる機会を作ろうと教育事業に乗り出し、nice to meet youセミナーを使った簿記検定のWEB講座を開始した。
決め手
WEB講座を開始するに際し重要視したのは「生々しさ」。eラーニングのようにコンテンツ化された授業を一方通行で見せるのではなく、講師と生徒がコミュニケーションをとれるシステムが必要だった。
桑原社長は「本物の教室のような生々しさのあるWEB講座でないと、通信教育と同じで、生徒は途中で脱落してしまう。その点を重視して、nice to meet youセミナーを選んだ」と決め手を語る。
開始当初は50人くらいの利用を見込んでいたWEB講座は、始まってみると大好評で、生徒数はわずか2年で1000人になった。現在はほぼ毎日、月に60回ほど、nice to meet youセミナーでWEB講座を開いている。また試験の前後には、出題予想大会や解答速報会を参加無料で開く。
桑原社長は「数百人が参加するが、初参加者でも『nice to meet you』は使いやすく、次の受講に結びつくことが多い」と話す。
効果
受験生の定番となっている資格対策書籍を多数刊行し、さらにWEB講座との両輪体制を確立させた
学習効果と、事業面での費用対効果が顕著に
CMSを利用して、すぐ復習できるのも好評
導入効果が顕著に現れたのは2点。学習効果と、事業面での費用対効果だった。
桑原社長は学習効果について、「通信教育とは別物になった。通信教育は最後まで続かない受験生が多いが、WEB講座ははるかに高い割合で最後まで行き着く。本当の教室と比べても負けないレベルで、最後までついてきてくれる」と語る。
特に受講者から重宝がられているのがオンデマンド機能だという。CMSを利用して、受講後すぐにオンデマンド機能を使って復習できるサポート性の良さが、その理由だという。一方、事業面から見た費用対効果では、これまでの1講座200万円のコストをかけていたeラーニングと比較すると、WEB講座は講師、受講者ともに授業に対しての充実感と満足感が強く、それが受講者数にも反映して収益率も上がったという。
展望
現在の「簿記生WEB講座」に加え、2009年7月29日からは「宅建生WEB講座」を開始する。
今後も他の資格のWEB講座を開講していく方針という桑原社長。「いい講師は全国各地にいる。講師が自宅から授業を配信できるようにすれば、さらに多くのいい授業が受けられ、学習効果が上がる」と展望を語る。
簿記検定を中心に、書籍とWEB講座の両輪で受験生を合格へと導くネットスクール株式会社。学習面と事業面の両視点から、代表取締役社長の桑原知之氏にお話を伺った。
※本事例は2009年12月に取材した内容を基に作成・掲載しております。