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【特集】時代の寵児、株価変貌ステージ第1章突入へ「新AI関連5銘柄」<株探トップ特集>

自動運転、ドローン、フィンテック、バイオなど次世代の成長産業とAIは密接な関わりを持っている。有望関連株がひしめく東京市場だが、そのなかで新たに注目される大幅高の可能性を秘めた5銘柄を紹介する。

―米中の覇権争いはAIが主戦場、シンギュラリティを投影する株式市場からもう目が離せない―

●あらゆる成長産業の基盤を担う

 ビッグデータの普及やIoT社会の発展のなかで、重要なカギを握る技術分野が人工知能(AI)だ。現在、世界が競って研究開発に取り組む次世代分野、例えば自動運転車をはじめ、ドローンフィンテック(金融)、バイオなど、AIはあらゆる成長産業において新たな付加価値やサービスを生む強力な技術基盤となりうる。

 AIは今や完全に人類の生活と融合しているだけでなく、目に見えない潜在的な部分でも時代を動かす歯車として大きな影響を与えている。既にRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などでホワイトカラー業務も人間に代替可能な段階にある。AIは広範囲にわたり人手不足を大幅に緩和する重要な役割を担う一方、現状はデータサイエンティストなどAIに対応したハイエンドなデジタル人材が圧倒的に不足するという皮肉な状況をもたらしている。もちろん、データサイエンティストの不足はAIがその存在を膨張化させるプロセスにおいての一過性の風景に過ぎない。時間軸が進めばIT教育などで解消されていく類いの課題だが、その延長線上で待っているのは、人間の英知の総和をAIが超越するという「シンギュラリティ」だ。

 グローバルにスタートアップ企業やベンチャー企業への資金投下が加速するなか、これから先の世界は、AI分野でいかに先見性を発揮した投資が行えるかどうかがカギを握る。いうまでもなく、そこはマウントポジションを求めた“人間同士”の熱い戦いが繰り広げられていく。

●ソフトバンクの慧眼と米中摩擦の先に見えるもの

 日本ではソフトバンクグループ <9984> がAI関連投資における最強の“目利き”である。同社の18年4-12月期は最終利益が1兆5383億円に達し、トヨタ自動車 <7203> を上回ったことが話題となったが、これはSVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)の貢献によるものであった。SVFで投資したエヌビディアについては4500億円近い巨額の評価損を計上したにもかかわらず、未上場のベンチャー企業の価値増大で完全にカバーした。そして、この出資先のかなりの部分がAI関連のベンチャー企業だったことが市場関係者の耳目を驚かせた。

 また、世界に目を向けると米中のハイテク覇権争いが苛烈化しているが、これは詰まるところAI分野を米中どちらが制するかの争いといっても過言ではない。WIPO(世界知的所有権機関)が発表した昨年1年間の特許の国際出願件数では、中国が一気にその存在感を高め、首位の米国を脅かす存在となっている。出願件数は米国の5万6142件に対して、中国は5万3345件と肉薄しており、その主戦場となっているのは紛れもなくAIが絡む次世代技術分野だ。政府が旗振り役となり巨額資金を投下して技術開発を推進する中国。米国はこれを脅威に感じないわけがない。米中摩擦の本質は貿易収支の問題ではなく、ハイテク王者の座を巡る戦いであり、極論すれば国家としてマウントポジションをかけた「AI覇権争い」にほかならない。

 いずれにせよ、AIの存在は今後、世界経済そして政治に多大な影響をもたらしていくことに間違いはなく、日本もその時代の潮流のなかで自ら前に進んでいく必要に迫られている。株式市場でもAIは投資テーマとして強烈な輝きを放ち続けることは自明である。

●脚光浴びる常連銘柄と急浮上するニューフェイス

 関連企業としてシンボルストック的な銘柄はいくつかある。もちろん、前述のソフトバンクGや富士通 <6702> 、NEC <6701> といった日本を代表する主力IT企業は同テーマにおいても不動の存在感を有するが、投資家が求めているのは、AI分野に特化してこれから業績を変貌させる可能性を持つ中小型成長株だ。

 株式市場で折に触れ脚光を浴びる銘柄としては、例えばトヨタなどの大資本企業と提携関係にあるALBERT <3906> [東証M]やAIを活用したビッグデータ分析の先駆であるブレインパッド <3655> 、リーガルテック事業を主力に人工知能エンジン「KIBIT」を活用した解析で実績を重ねるFRONTEO <2158> [東証M]などが挙げられる。また、東京大学発のAIベンチャーPKSHA Technology <3993> [東証M]や、事務作業代行の自社ブランドソフト「BizRobo!」を展開するRPAホールディングス <6572> [東証M]などにもマーケットの注目度が高い。

 <この5銘柄をロックオン!>

 そうしたなか、今回はAI関連の新たな主役候補として強力なキャパシティーを持ち、上値の可能性を漂わせる5銘柄を厳選した。

【ポールHDはAI開発支援で事業領域開拓】

 ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス <3657> の1000円近辺でのもみ合い局面は仕込み妙味が大きい。株価はここにきて底練りから上放れてきたが、今はまだ本格的な戻り相場に向けての初動とみられ追撃買いで臨みたい。ソフトの不具合を検査するデバッグ事業を主力にネットサポート事業も手掛けている。デバッグ事業はゲーム向けが好調で収益性が改善。グーグルのゲーム市場参入で同社にも商機拡大の思惑が浮上している。ネットサポート事業はサイト向け出品物チェックのほか、時流を捉えたサーバー監視サービスが伸びて収益に貢献している。普及が進むAIの開発支援ビジネスにも注力の構えをみせ、事業領域の拡大に努めているが、AIデータの認識効果向上がネットサポート事業の収益成長を後押しし、RPA化も加速局面に。スマートフォンアプリ開発企業と資本・業務提携を行い、AIを活用した自動QAサービスの開発などにも展開。昨年12月には「チャトボット導入コンサルティングサービス」への参入を発表している。

【システムインテはDラーニングで評価本番】

 システムインテグレータ <3826> は底練りを経て浮上の兆しにある。株価は5日・25日移動平均線がゴールデンクロスを示現した矢先、ここからの上値余地は大きいといえる。独立系のソフト開発会社でeコマースやデータベース開発などで優位性を持っている。ディープラーニング技術を活用した製品やサービスを次々に投入しているが、同技術を使った新AIサービス「アイシア アノマリー ディテクション」を昨年秋から展開、これは生産現場での品質検査において、自動的にリアルタイムで異常検知できるシステムで注目度が高い。また、AIを活用した会社情報検索サービスを実用化している。同サービスは、ネット上で開示されている当該企業に関する情報をAIが常に自動で更新して鮮度の高いコンテンツを顧客に提供するというもので、今後の需要取り込みが期待される。需給面では程よい出来高流動性と値運びの軽さが特長で、物色人気に火がつけば意外な値幅を出しそうだ。

【CACHDは割安成長株、感情認識AIで飛躍】

 CAC Holdings <4725> は今月5日に1475円で4年半ぶりの高値圏に浮上、その後は利益確定売りで調整を入れているが、25日移動平均線近辺との上方カイ離がほぼ解消された1300円台後半は、上昇エンジン再始動の局面にある。独立系のシステム構築会社で、IT大国のインドに現地法人を擁し海外展開でも実績が高い。AIを活用した技術分野にも展開が厚く、特に広告業界や医療業界向けなどで高水準のニーズがある感情認識AIビジネスへの引き合いが旺盛で、同社の将来的な成長力を映し出している。業績は急拡大局面にあり、18年12月期は営業利益段階で前の期比倍増、更に19年12月期も40%強の拡大を見込む。この成長力にして、配当利回りが3.6%強と高いうえ、PBRは1倍を割り込んでおり、指標面だけでみても割安是正が有望視される。2014年9月につけた高値1500円を上抜けば実質青空圏に突入、戻り売り圧力のない真空地帯を舞い上がるケースも考えられる。

【シルバーエッグはAI技術の“輸入”で変身へ】

 シルバーエッグ・テクノロジー <3961> [東証M]は今月19日に一時値幅制限いっぱいに買われ大陽線を立てた後、いったん目先筋の利益確定売りをこなす段階にあるが、再騰局面入りが近そうだ。5日移動平均線とのカイ離修正を経て大勢2段上げの構図が描ける。同社はAI技術をベースにサイト上でマーケティング支援ツールを展開しており、アパレル業界や人材サービス業界を中心に幅広く企業のニーズを囲い込んでいる。19日の急騰劇は、香港のAI・機械学習ベンチャー特化型スタートアップアクセラレーターであるZeroth社との資本・業務提携が材料視されたもの。この提携により、シルバーエッグが蓄積したAIビジネスにおけるノウハウを援用、Zeroth社が擁する多くのAIベンチャーの新技術を日本に“輸入”する青写真がある。この提携は同社だけでなく、日本国内のAI産業の発展にも大きく寄与する可能性を内包し、株価も時価近辺で打ち止めとは到底思えない。

【ニーズウェルはAIソリューションで頭角現す】

 ニーズウェル <3992> [東証2]は1月28日の613円で戻り高値を形成した後、下値を探る局面にあったが、今月中旬の470円台で底値を確認して急速な戻り足に転じている。時価総額は依然として50億円前後と小型だが、今週に入って売買代金も増勢にあり、継続的な投資資金流入を示唆する動きだ。同社は金融向けを主力にシステム開発を手掛けている。最終顧客からの直接受注が売上高の半分を占めていることが特長。傾注するソリューション事業ではAIの普及加速や5G時代到来に合わせたサイバーセキュリティー分野の強化を図っている。19年9月期は、人件費や開発コストの増加を保険業界やカード会社向け受注増加で吸収、営業利益は従来予想の4億9800万円から5億1800万円(前期比9%増)に増額修正するなど会社側計画を上回って推移している。20年9月期も増収増益トレンドに変化はなさそうだ。

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