独ESG評価会社アラベスクS-RayのESGスコア(100点満点)を7月31日時点で順位付けしたところ、日本企業の首位は前月末と同じオムロン(6645)で、スコアは72.73点だった。2位は前月末4位の東京エレクトロン(8035)、3位はサントリー食品インターナショナル(2587)が同7位から浮上した。
■上位6社が70点上回る、6月末より1社増加
70点台の企業は6社と、前月末より1社増えた。海外企業も含めた世界ランキングでは、オムロンが9位、東エレクが14位、サントリBFが20位。トップ20入りした日本企業は3社と、6月末時点より1社減った。日本企業551社の分布状況を10点刻みで見ると、50点以上60点未満が256社と最も多く、平均は53.59点だった。
アラベスクS-Rayは70カ国・地域以上の約7300社について、企業の公開情報と世界の情報元からESG評価に必要なデータを自動収集し、人工知能(AI)による独自の手法でESGスコアを毎日更新している。ESGスコアはE(環境)、S(社会)、G(企業統治)の3つのサブスコアから構成され、ESG課題の株価へのインパクトを考慮して、業種ごとに重きを置く評価項目のウエートを変えているのが特徴だ。
■GCスコア首位は富士通、2位オムロン、3位はサントリBF
一方、アラベスクS-Rayは国連グローバルコンパクト(GC)の原則に基づいて企業を評価する「GCスコア」(100点満点)も算出している。7月31日時点の国内企業の首位は前月末と同じ富士通(6702)で、スコアは71.16点だった。2位も前月末と変わらずオムロン、3位はサントリBFで、前月末の8位から順位を上げた。
日本企業556社のGCスコア平均は54.22点。分布を10点刻みでみると、60点以上70点未満が199社と最も多く、50点以上60点未満(171社)を上回っている。7月31日の世界ランキングで日本企業では富士通の19位が最高だった。
国連グローバルコンパクトは持続的な成長に向け、企業に対して人権・労働・環境・腐敗防止の4分野・10原則の順守を求めている。GCスコアは人権・労働・環境・腐敗防止の4つのサブスコアで構成され、ESGスコアと異なり、業種に関係なく企業活動を評価している。
■コロナ禍で注目されるESG課題への対応力
ESGスコアで国内企業3位に浮上したサントリBFの7月末時点の株価は3カ月前に比べ2.0%安、1年前に比べ8.3%安だった。新型コロナウイルス感染拡大によって国内の自動販売機、海外の業務用の需要減少懸念が影を落としている可能性がある。ESG課題に対する企業の評価に株価が必ずしも連動するとは限らない。
ただ、コロナ禍で雇用や報酬、サプライチェーンの管理といったESGのSの領域に注目が集まっている。また7月からプラスチック製レジ袋が有料になり、Eの領域について改めて考えるきっかけになった。Gの領域も含めて各企業のESG対応が、企業の強靭性や持続可能性を見極める判断材料のひとつになるのは間違いないだろう。(QUICKリサーチ本部 遠藤大義)