【8591】オリックス/DHC買収後は東芝へ出資検討、中計純益4,400億円の達成も射程圏。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8591】オリックス(東証プライム) OP

現在値 2,157円/100株  P/E 10.21 P/B 0.78  3月配当優待 9月配当

総合リース首位。事業多角化、海外展開は業界では突出。MA積極的。
配当は年2回・合計85.6円のため、配当利回りは約3.97%となります。

オリックスは株主優待制度を実施しており、3月末に単元以上を保有する株主に対して、5,000円分のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約6.28%となります。なお、3年以上保有の場合は進呈額が倍になりますので、同利回りは約8.60%となります。また別途、当社施設等でのサービスが受けられる株主優待カードも進呈しています。

業績を確認していきます。

■2020年3月期 売上高 22,803億円、最終利益 3,027億円 EPS 237円 

■2021年3月期 売上高 22,927億円、最終利益 1,923億円 EPS 155円

■2022年3月期 売上高 25,203億円、最終利益 3,121億円 EPS 259円

■2023年3月期 売上高 (未定)億円、最終利益 2,500億円 EPS 213円ce

■2023年3月期 売上高 26,114億円、最終利益 2,720億円 EPS 228円con(2/3)

□2022年9月2Q 売上高 13,648億円、最終利益 1,217億円 EPS 102円

□2022年12月3Q 売上高 19,948億円、最終利益 2,113億円 EPS 178円(2/6)


2022年9月中間期の売上高はYoY+9.9%の1兆3468億円、最終利益はYoY▲17.0%の1,217億円となり、予算比は無いものの増収減益となりました。輸送機器事業は船舶が好調だったほか、航空機リースのAvolonの赤字が縮小し、環境エネルギー事業も発電量・単価ともに増加しました。また、関空に代表されるコンセッション事業やアジア事業も堅調だったものの、保険事業は新型肺炎禍の入院給付金等の支払い保険金が重く6割の大減益となり、米州事業も不動産ローンの買取停滞で大きく後退し、全社業績の足を引っ張りました。


なお2023年3月期の通期見通しは中間時点で初公表しており、最終利益のみYoY▲20%の2,500億円を見込んでいます。下期に入って、新型肺炎禍の保険金支払いが減少しているほか、航空機のAvolonも黒字転換しており、上期の苦戦分野の顕著な回復がみられます。また、環境エネルギー事業でOrmatの株式の7.8%持分の売却により150億円を計上したほか、欧州事業でTranstrendのAM運用益やコンセッションの関空事業の急回復もあり、2月6日開示の3Q決算は純益2,113億円で進捗しているため、上振れ公算が高い状況です。

 

進行期は2025年3月期を最終年度とする中計の初年度となっており、向こう3年で最終利益を3,121億円→4,400億円、ROEを9.9%→11.7%、(弥生除き)海外売上比率を47%→51%へ引き上げるほか、財務健全性のA格維持を目指します。セグメント別では、輸送機器・不動産コンセッション(+820億円)、事業・投資(▲357億円、弥生剥落影響除き+1,273億円)、AM(+300億円)、金融・保険(+325億円)でそれぞれ積み上げる計画です。

 

注力分野は、①PE投資、②環境エネルギー、③AMの3分野であり、①は昨年11月に化粧品大手のDHCに3,000億円を投じて買収することを公表しています。昨年弥生を2,000億円で売却済のため投資余力があったほか、DHCは大規模リゾート物件を複数保有しているため、当社不動産事業とのシナジーを見込んでの買収と解されます。当社のPE投資の目標IRRは15%+となっており、これ以外にも東芝への3,000億円出資が報道されていますが、目下の観測では東芝TOBの取り纏めを行う日本産業パートナーズが出資先の調整に難航しており、当社出資額も2,000億円程度に留まる見通しです。

 

投資パイプラインについては、現状3兆円程確保しており、特に環境エネルギー分野においては2021年に1,000億円を投じて持分の80%を取得した欧州のElawanや、Greenkoの追加取得など、総額2兆円超の規模を有しています。既に国内企業としては屈指のエクスポージャーを保有する再エネについては、既に3.5GWの発電能力を持っており、今次中計期間で6GW(売却前7GW)まで増強するほか、2030年3月期には10GW規模を目指す計画です。

 

なお、米MGMや地元企業とのJVとなる大阪のMICE-IRについては、2021年9月に当社グループが選定されており、延べ1兆円が投資される計画となっています。当社持分は関空等と同様に40%、2,100億円程度の出資が目されており、巡航後の純利益寄与額は年300~500億円程度と試算されますが、最速でも2028年以降となっています。

 

今次中計における株主還元方針については、前期実績配当もしくは配当性向33%のいずれか高い方としており、減益予想となる進行期については、横ばいの年85円65銭配当を予想しています。これ以外にも500億円規模(3.3%)の自社株を完了しているため、総還元性向は6割程度に達する見込みです。


*参考記事① 2022-03-22  2,333円 NT

【8591】オリックス/弥生会計売却で最終益3,000億円超へ、配当は年85円+まで増配の公算。

 

*参考記事② 2021-08-16  2,088円 NT

【8591】オリックス/西Elawan買収でグローバル再エネ事業の拡大顕著、夢洲IRも前進へ。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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