全1820文字

 政府は2020年10月に運用を開始する予定の「政府共通プラットフォーム」に米アマゾン・ウェブ・サービスのクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」を採用する方針であることが分かった。日経 xTECHの取材に複数の政府関係者が明らかにした。

 政府共通プラットフォームは政府情報システムのプライベートクラウド基盤である。政府は民間クラウドサービスの利用を前提に次期基盤となる「第二期整備計画」を進めており、現行の政府共通プラットフォームに比べて5割超の運用コスト削減を目指す。

 政府は2018年度から政府共通プラットフォームの整備に向けた入札を実施し、このうち設計・開発などの請負業務の一般競争入札について、アクセンチュアが19年5月に4億7520万円で落札して受託契約を結んだ。政府関係者によると、アクセンチュアはAWSの利用を前提に設計・開発を進めている。

 これまで自治体などの行政機関が個別にAWSなどのクラウドサービスを利用する事例はあったが、政府がAWSを大規模に採用するのは初めてと見られる。

 システム要件などの検討を担当している総務省行政管理局によると、2019年7月時点では設計工程の初期段階で「AWSの標準サービスを利用してコストを安くできるシステムを精査している」という。業務内容の見直しや更改予定のないシステムを対象に、プロトタイプによる機能や費用対効果などの事前検証を進めている。

図 第二期政府共通PFの整備スケジュール
図 第二期政府共通PFの整備スケジュール
(出所:総務省行政管理局)
[画像のクリックで拡大表示]

「クラウド・バイ・デフォルト原則」の象徴

 政府は2017年5月に公表した「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」や「デジタル・ガバメント推進方針」で、政府情報システムを整備する際にクラウドサービスの利用を第一候補にする「クラウド・バイ・デフォルト原則」を打ち出した。

 新しい政府共通プラットフォームはクラウド・バイ・デフォルトの象徴と位置付けられる。政府関係者は入札と並行してクラウドサービス事業者の施設を見学し、コスト面などの比較検討を進めていたようだ。