【フリマアプリ】不用品売買を仲介するアプリで国内最大手。米国にも進出。
フリーマーケットアプリのメルカリは13日、スマートフォン(スマホ)決済サービスを始めたと発表した。フリマアプリ上でモノを販売した際の売上金を、アプリ内で使うほかに、リアルの店舗でも使えるようになる。まずはNTTドコモの決済サービス「iD」に対応し、全国90万カ所で使えるようにした。主力のフリマアプリとの相乗効果を見込む。
スマホ決済「メルペイ」を提供開始した。iPhoneなどで使える米アップルの電子決済サービス「アップルペイ」にメルペイを登録すると、iDに対応した決済端末を持つ店で支払える。スマホをかざすだけで決済できるため、支払時にアプリを立ち上げる必要が無い。
登録や利用額の設定はフリマアプリ上でできる。三井住友カードと組んで「iDを使うためのインフラを提供してもらう」(メルカリ)という。
メルカリは2017年11月に金融関連子会社のメルペイ(東京・港)を設立した。フリマアプリの総流通額(取引額)は1300億円を超えるが、これまではアプリ内で別の中古品を買うか、手数料を払って銀行口座に引き出すかしかなかった。売上金の使い方を多様化することで、さらに中古品の売買を活発化する。小泉文明社長は「メルペイはメルカリの成長に寄与する」と意気込む。
スマホ決済を巡っては楽天やヤフー、LINEなどが次々と進出し競争が激化している。メルカリはIT(情報技術)企業では後発になる。ただ小泉氏は「競争優位性を築ける」と自信を見せる。
理由はフリマアプリの特性にある。メルペイの場合、1200万人がフリマアプリ上で不要になったモノを売ったお金が最初から入っている。決済アプリを新しくダウンロードして個人情報を登録したり、入金したりする手間が省ける。さらに不用品を売って手にした「お小遣い感覚」の売上金のため、支払時の心理的ハードルも低いとみる。
競合サービスの場合、スマホ決済を使うために銀行口座やクレジットカードを追加登録したり、通販サイトなどでこつこつためた少額のポイントを使ったりするケースが多い。ソフトバンクとヤフーによる「ペイペイ」が利用者を増やすために100億円還元キャンペーンなどを打ち出す中、メルペイには、もともと売上金を扱っているフリマアプリとの連携という利点がある。
メルカリの18年7~12月期決算では日本のフリマアプリが44億円の黒字だったが、米国事業やメルペイへの先行投資が響き、全体では36億円の営業赤字となった。メルペイでは売上金をリアル店舗などでの決済に使えるようにして利便性を高めるだけではなく、様々な金融サービスへの展開ももくろんでいる。
(企業報道部 吉田楓)
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