国内の上場企業の多くは年に数回、アナリストや機関投資家向けに決算説明会を開催しています。
 
実はテンバガー(10倍株)など長期上昇株のトレジャーハンティングには、経営者の生の声を聞ける決算説明会は非常に有効なツールとなります。
 
将来大きく成長する会社を探すには、経営者の人物像や、長期的なビジョンに沿った具体的な経営戦略などが重要となるからです。
 
決算短信等の財務諸表の分析もいいですが、どうしても近視眼的になってしまいがちです。
 
そこで、1回1~2時間程度の決算説明会の内容を3分程度で読めるよう、アナリストの視点からポイントを絞り込んで紹介していきます。

■ヤフー(4689)
昨年12月に実施された「100億円あげちゃうキャンペーン」で一躍有名となった「paypay」。テレビCMでも目にすることが多く、老若男女問わず認知度が高まっています。世間では現金が使えないキャッシュレスオンリーの飲食店も増えている様子。今後もキャッシュレスの普及は加速度的に進むことが予想されます。
 
「paypay」を手掛ける同社は積極的な投資により利益は伸びていませんが、統合マーケティングソリューションにより販促市場も取り込むことで、長期的には過去最高益の2250億円にチャレンジしたいと鼻息も荒いようです。
 
「1997年の上場時から売らずに保有していれば数億円の利益になった」などという話をよく聞く大化け銘柄の代表格である同社ですが、まだまだ成長余地は大きいのではないでしょうか。
それでは決算説明会の内容を見ていきましょう。
 
2019年2月4日「2019年3月期第3四半期決算説明会」
 
■トピックス
・2019年3月期第3四半期決算説明会
・2018年度 第3四半期決算説明会 トピックス
・2018年度 第3四半期 業績サマリー -累計-
・広告関連売上収益 推移 -3Q累計-
・スマートフォン動画広告売上収益 -3Q累計-
・eコマース取扱高(物販)推移 -3Q累計-
・2018年度 通期営業利益ガイダンス
・セグメント別売上収益 推移 -3Q累計-
・売上収益の増減要因 -3Q累計-
・セグメント別営業利益 推移 -3Q累計-
・営業利益の増減要因 -3Q累計-
・「100億円あげちゃうキャンペーン」を実施
・キャンペーンの効果 -認知度の向上-
・キャンペーンの効果 -登録者数の急増-
・キャンペーンの反省 -セキュリティ対策-
・第2弾キャンペーンを発表
・第2弾キャンペーン概要
・第2弾キャンペーン実施にあたりセキュリティに関する注意喚起を再徹底
・過去5年間の振り返りと今後
・ヤフーが目指すこと
・マネタイズポイントの創出
・統合マーケティングソリューションとは
・ビジネス効果を生み出す新たなプロダクトを開発中
・広告市場に加えて新たに販促市場も開拓
・売上収益見通し
・長期的な売上収益構成のイメージ
・長期的な営業利益見通し
・お知らせ
「Yahoo!ショッピング」取扱高における
・ショッピング広告テイクレート*1およびポイント費用比率*2の推移
・各セグメントの主な商品項目
・主な広告商品
・FY18からのeコマース取扱高の定義
・組織図(単体ベース)
・主な連結子会社および持分法適用会社

■会社解説からポイント抜粋
<19年4-12月期は想定内の減益>
・19年3月期3Q累計(4-12月期)の売上収益は前年同期比+7.4%の7075億円。「会計基準の変更や、子会社であったIDCフロンティアの株式売却による影響を考慮すれば、同+9.7%の7224億円だった」とのこと。
 
・大きく伸びたのは、広告関連の検索連動型広告。スマートフォンの動画広告も、広告の動画化を進めたことが奏功し、2.5倍に急拡大した。またeコマースの取扱高・物販も好調。ショッピングがけん引する形となった。積極的な投資により営業利益は-19.0%の1196億円と大幅減益となったが、同社では「想定内の減益」としている。
 
・なお、広告関連の上ブレや新たな挑戦のための費用の未消化により、通期の営業利益を従来予想の1330~1430億円→1400~1430億円に修正した。

<PayPayの登録者数が400万人突破>
・「PayPay」は昨年10月にサービスインをして、12月から「100億円あげちゃうキャンペーン」を実施。これが話題を呼び、年末にかけて多くの店舗で行列が生まれた。キャンペーン期間は2019年3月31日までだったが、100億円の「PayPayボーナス」付与金額に達したため、10日弱の12月13日で終了。2019年1月31日時点で115億円が完了。15億円ほど付与が多いが、これはSNSの影響で最終日に取り扱いが大きく伸びたためである。
 
・規約の理解不足に伴う利用や不正利用により、ボーナスの付与保留は約2億円ある。不正利用は保留から取り消しになる一方、理解不足については問題がなければ、保留から付与に変わる。同社によると、付与保留は「ここからは減ることはあるが、増えることはない」とのこと。
 
・「PayPay」はモバイルペイメントの世界では後発組だったが、キャンペーンにより、他のモバイルペイメントよりも認知度が上昇し、1位となった。ユーザー数(登録者数)は、サービス開始4カ月で累計登録者数400万人を突破し、ヤフー史上最速となった。
 
・2019年2月4日には「100億円キャンペーン」の第2弾を発表。今回は、少額決済・多回数決済の利用者を増やすことが目的。前回のキャンペーンでは、「何回かに1回、100%の『PayPayボーナス』付与が大変好評だったが、今回は少額決済・日用利用者も得するようなの付与条件となっている」とのこと。
 
・前回、セキュリティ上の問題が生じたのは、1回当たりの使用金額における付与の上限の多さにあったとし、今回は金額抑えて不正利用を防止する。加えて、銀行提携利用におけるフィッシングサイトへの注意喚起や、クレジットカード情報の管理に対する注意喚起を再徹底する。

<オンラインとオフラインの両軸での進化>
・これまでeコマース革命を行うなど事業の強化を行ってきたが、今後は「よりリアルの世界にも進出して、新たなチャンスを捉えていきたい」という。オンラインで有力なプラットフォームである「Yahoo!」と、オフラインにおいて有力なプラットフォーム「PayPay」の2つを活用して、サービスの充実に伴う事業拡大を目指す。
 
・同社は「オフライン上のユーザーの生活は、オンライン上のユーザーの生活よりも何倍も大きい」とし、技術の進歩に伴い、「インターネットの技術を使って、オフライン上のユーザーの生活を便利にする機会ができるようになってきている」との見解を示した。今後、「『オンライン』と『オフライン』の両軸で進化をしていくことにになる」との意気込んでいる。

<統合マーケティングソリューションにより販促市場も取り込む>
・オンライン・オフラインを問わず、消費行動の入口「認知」から出口「購入・再購入」までつなげ、効果を可視化させることにより、既存の広告事業からマーケティングソリューションを進化させる。
 
・オンラインについては、「Yahoo!ショッピング」などのeコマースのサービスで検索連動型広告やヘッダー広告商品などを提供。今までは「Yahoo!ショッピング」のマーチャントにだけ提供していた広告の機会を、メーカーにもオンライン上で広く提供し、「購入」に関して成果を見えやすくしていく。
 
・オフラインについては、「PayPay」がより多くのユーザーに使われることによって、『Yahoo!』の検索連動広告で見て、「PayPay」のクーポンをゲットし、実際に来店して購入したなどがすべて可視化されるようになる。そして、予算からの逆算で、「これぐらい予算があれば、これぐらいの最終的な来店まで促すことができる」という提案をすることが可能になる。「これはソリューションという観点でも非常に大きな進化。収益源という観点でも大きな構造の変化につながる」との考えを示した。
 
・国内の広告指標は約6兆円あるといわれており、販促市場は倍以上の約15兆円と大きい。今後は「広告予算と販促予算の両方を、ソリューションの具体的な収益源にすることができる」という。現在、広告市場のみで3000億円程度の売り上げがあり、販促市場を取り込むことで2023年度に5000億円に引き上げる考え。投資を積極的にしつつ、「今後の4年間は利益水準を1400億円以上にし、2023年度に過去最高益の2250億円にチャレンジしたい」とした。