新型肺炎患者、国内で初確認 武漢に渡航歴
厚生労働省は16日、中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の国内初患者を確認したと明らかにした。患者は神奈川県の30代男性で武漢市への渡航歴があり、15日夜に国立感染症研究所の検査で新型ウイルスの陽性結果が出たという。
同省によると、男性は1月3日から発熱症状があり、6日に武漢市から日本に帰国した。医療機関を受診し、9日には39度の高熱となった。肺炎に悪化の兆しがあったことから10日から入院。症状は回復し、15日に退院し自宅療養中という。同省が武漢市での立ち寄り先や帰国後の行動など、詳細を確認している。国内で同居する家族も濃厚接触者として経過を観察している。
新型肺炎は武漢市で2019年12月に発生。41人の患者が確認され、61歳の男性1人が死亡、6人が重症という。家族内での感染例もあるとされ、人から人へ感染する可能性も指摘されている。
中国当局が12日にウイルスの遺伝子配列情報を公開し、日本の国立感染症研究所も検査態勢を整えていた。
武漢市当局や世界保健機関(WHO)によると、患者は同市中心部の海鮮市場に出入りする人々が中心で、今月1日に市場が閉鎖され、3日以降は新たな患者は確認されていないという。8日に同市からタイに到着した61歳の中国人女性が発症し、新型ウイルスが確認された。
厚労省によると、男性患者は武漢市の海鮮市場には立ち寄っていないと説明。同省は中国で肺炎患者と一緒に過ごすなど濃厚接触した可能性があるといい、詳細を確認している。日本への帰国時には解熱剤を使っており、検疫を通過したという。
同省は新型ウイルスについて「現時点で家族間など限定的な人から人への感染の可能性は否定できないが、持続的な人への感染の明らかな証拠はない」としている。飛行機や電車などに同乗した人に感染が拡大するリスクは低いという。武漢市からの帰国者、入国者に対し、せきや発熱などの症状がある場合はマスクを着用した上で、速やかに医療機関を受診し、滞在歴を申告するよう求めている。
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