ヤクルト(2267) 2021年~の株価上昇要因・理由の分析

ヤクルト画像 日本株

この記事では、乳酸生菌飲料を製造しているヤクルトの2021~2023年に株価上昇した要因(原因、理由)について、分析した情報を解説していきます。

ヤクルトの企業概要

まずは、ヤクルトの概要を確認していきたいと思います。

ヤクルト本社概要

出典:2023年3集 会社四季報

ヤクルト本社は、ヤクルトという会社ではなく、ヤクルトの後に”本社”が付きます。

また、ヤクルトという名前の由来については、ヤクルトは造語のようで、19世紀末に世界共通語として作られたエスペラント語で、ヨーグルトを意味する”ヤフルト”を言いやすくしたヤクルトと名付けたようです。

このヤクルトには、世界共通の願いである”健康”に寄与したいという想いが込められているようで、世界共通言語のエスペラント語での言葉を使ったようです。

ヤクルトの製品には、もちろん乳酸菌飲料であるヤクルトやお茶類、栄養ドリンクなどの清涼飲料も製造しており、それ以外にも、ヤクルト免許皆伝という、即席めん等のめん類や、健康食品も製造しているようです。

また、有名な食品事業以外にも、乳酸菌の発酵液を用いたスキンケアやヘアケア、ボディケアなどの化粧品事業や整腸薬などの医薬品事業も展開しているようです。

それでは、ヤクルト本社の2021~2023年に株価上昇したチャートを見ていきます。

株価チャート

こちらの月足の株価チャートで示した、赤四角で囲んだ部分が今回分析を行う株価上昇部分となります。

株価上昇に転じる前の株価の底が、約5,000円となっています。

その後、約10,000円付近まで上昇しているので、株価の底5,000円でヤクルトの株式を購入できれば、10000円/5000円=200%(2倍株)となり、ヤクルトの株式を購入したお金が2倍になったということになります。

100万円分購入していたら、200万円に変化ということですね。

それでは、気になる2倍株に変化した要因・理由を分析していきます。

上昇要因の分析

財務面での分析

まずは、各企業のIRページにて、開示されている決算や有価証券報告書に記載の財務状況から、株価上昇の要因・理由を分析していきます。

ちなみに、ヤクルトの決算や有価証券報告書が開示されているIRサイトのURLは、こちらです。ご興味ある方は、ぜひご確認頂ければと思います。

財務面で確認する項目は、以下に示す通りで、投資の神様と言われるウォーレン・バフェットの指標(出典:バフェットの財務諸表を読む力)をお借りして、財務面の状況を確認していきたいと思います。

財務面の確認項目

  • 売上高(営業収益)
  • 純利益
  • 流動比率(=流動資産/流動負債)
  • 現金
  • ROE(株主資本利益率=純利益/純利益)
  • EPS(1株当たり利益=純利益/発行済み株式総数)
  • キャッシュフロー・マトリックス

売上高・営業利益・純利益

売上高と営業利益、純利益は以下グラフのようになります。

売上高グラフ
営業利益グラフ
純利益グラフ

株価上昇があった期間が、2021~2023年となりまして、2021年から2023年にかけて、売上高及び営業利益、純利益が右肩上がりに増加していることが分かります。

2022年の売上高及び営業利益、純利益の増加要因・理由としては、家族での飲用促進を目的としたキャンペーンを実施したり、期間限定パッケージを展開することで店頭での視認性向上を図るなど、売上増大に努めたことや、大ヒットしました「Yakult (ヤクルト)1000」や、「ヤクルト400W」の販売地区を全国に拡大したことが影響して、売上高及び営業利益、純利益が増加したようです。

次に2023年の売上高及び営業利益、純利益の増加要因・理由としては、「Yakult(ヤクルト)1000」及び「ヤクルト400」シリーズを中心に、効果のエビデンスを活用し、飲料促進を図り、それらの効果で、「Yakult(ヤクルト)1000」及び「Y1000」の需要が高まり、この需要の高まりに対応するため、それぞれの生産体制を増強を行ったことが影響し、売上高及び営業利益、純利益が増加したようです。

これらの好調な決算や「Yakult(ヤクルト)1000」の好調な売れ行きによって、株価が上昇したのではないかと考えられます。

その他財務状況

株価上昇の分析でも使いますが、主に投資対象としての適正を見る側面として、流動比率、現金、ROE(株主資本利益率)、EPS(1株当たり利益)、キャッシュフロー・マトリックスの数値を見ていきます。

流動比率グラフ

ウォーレン・バフェット指標:過去5年以上0.5%以上か?

現金グラフ

ウォーレン・バフェット指標:現金の推移は安定しているか、右肩上がりか?

ROEグラフ

ウォーレン・バフェット指標:株主資本利益率(ROE)は安定的に高い数値か?

参考:2018年 日本の上場企業ROE平均値9.4%(出典:経済産業省)

EPSグラフ

ウォーレン・バフェット指標:1株当たり利益(EPS)が安定的に高くなっているか?

キャッシュフローマトリックスグラフ

ウォーレン・バフェット指標:キャッシュフロー・マトリックスが安定期もしくは投資期か?(下図参照)

キャッシュフローマトリックス住み分け

これらの指標を確認すると、全指標において、好調な数値となっていることが分かりまして、投資対象としては、良い印象を受けます。

次に、日足でのチャートと各種テクニカル指標を確認し、もう少し詳細な株価上昇要因を見ていきます。

日足チャートとテクニカル指標での分析

日足チャートに、ボリンジャーバンド、MACD、RSIなどのテクニカル指標を追加したグラフがこちらです。(日足チャートのみと日足チャートにテクニカル指標追加したグラフを分けています)

■日足チャート

■日足チャート+MACD+RSI+出来高

※緑線:ボリンジャーバンド上線、青線:25日移動平均線、赤線:ボリンジャーバンド下線

<テクニカル指標説明>

ボリンジャーバンド: 一般的に、上線にローソク足が近づけば売り、下線にローソク足が近づけば買い(価格の大半が上線と下線の帯(バンド)の中に収まるという統計学を応用した指標で、様々な活用法がある)

MACD(Moving Average Convergence Divergence): ヒストグラムが「マイナス→0→プラス」で買いシグナル、「プラス→0→マイナス」で売りシグナル(売買タイミングを判断する指標)

RSI(Relative Strength Index): 一般的に70~80%以上で買われ過ぎ、20~30%以下で売られ過ぎ(買われすぎ、売られ過ぎを確認し、売買タイミングを判断する指標)

日足で確認すると、上がり下がりを何度も繰り返しながら、長い期間を掛けて、最終的に株価が約10,000円まで上昇したことが分かります。

それでは、比較的に大きめの株価上昇ポイントである、グラフに記載の赤四角部分、青四角部分及び紫四角部分の株価上昇分析をしたいと思います。

赤四角部分の株価上昇要因・理由

まず、初めに赤四角部分の期間(2022年6月付近)には、決算報告などの情報はなく、あまりこれといった材料は確認できませんでしたが、ちょうどこの時期に、「Yakult1000」の売り切れニュースやSNSなどが多く見られました。

売上高増加要因の部分でも述べたように、「Yakult1000」は大ヒットしておりまして、この大ヒット要因としては、CMなどで謳っている、「ストレス緩和」と「睡眠の質を高める」の効果のようで、SNS上でも、「目覚めがいい」「ぐっすり眠れる」などの口コミが投稿されたことの影響もあったようです。

この「Yakult1000」の売れ行きの好調さもあり、決算の数値が良くなることの思惑買いで、株価が上昇したと考えられます。

青四角部分の株価上昇要因・理由

次に、青四角部分の期間(2022年8月付近)ですが、こちらについても、決算報告などの情報はなく、あまりこれといった材料は確認できませんでしたが、自己株式取得に関するお知らせがありました。

内容としては、2022/8/1から2022/8/4の期間に、普通株式218,100株を、東京証券取引所における市場買付けを行なっています。

確かに2022/8/1の出来高が増えていることから、自己株式を短期間で一気に取得したのではないかと考えられ、この影響により、株式の供給量が減り、株価上昇に繋がったのではないかと考えられます。

この自己株式取得の影響もあり、株価上昇したと考えられます。

紫四角部分の株価上昇要因・理由

最後に、紫四角部分の期間(2023年11月付近)には、2023年3月期第2四半期決算の報告をしています。

この決算では、連結経常利益が前年同期比17.4%増の419億円に増加を報告し、通期の連結経常利益を従来予想725億円から790億円と9.0%の上方修正となることを報告しています。

また、これらの業績の好調さから、2023年の年間配当を82円から90円と、8円の増額修正を報告しています。

上述しました「Yakult1000」の好調な売れ行きなどから、ある程度予測はできてはいましたが、これらの好調な決算から、決算発表後は一度株価が下落(もう少し上昇修正額が大きいと予想していた株主の失望売りと考えられる)しましたが、株価上昇していったのではないかと考えられます。

まとめ

この記事では、ヤクルト本社(2267)の株価上昇要因・理由について、解説しました。

今回のヤクルト本社の主な株価上昇要因・理由として、以下のような要因・理由がありました。

  • 「Yakult1000」の好調な売り上げによる連想買い
  • 自己株式取得
  • 業績予想の上方修正
  • 配当金の増額修正

今回のヤクルト本社の株価上昇要因には、「Yakult1000」の好調な売り上げが大きかったと思われます。

この「Yakult1000」は、もちろんヤクルトの企業努力の賜物ではありますが、SNSの口コミなどの影響もあり、急激な売り上げに繋がったと考えられますので、SNSでの情報収集というのも、株価上昇しそうな材料を探す有効な情報収集ツールであることが示された株価上昇だったのではないかと思いました。

ただ、SNSはネットニュースやテレビなどに比べて、情報を得られるスピードが早い一方、コロナウイルス流行時のトイレットペーパー騒動など、デマやフェイクニュースも多く、信憑性が低い情報も多いので、SNSの情報だけで物事を判断するのは少しリスクがあるかもしれません。

ネットニュースも同じことですが、情報を発信している媒体や人が信頼できるかなどを頼りに、どのような情報を正と考えるかを普段から持っておくことが大事なのではないかと感じました。

以下の記事で、一般的な株価上昇の要因・理由を紹介してますので、ご興味ございましたら、ご確認頂ければと思います。

長々と記載させて頂きましたが、お読み頂きまして、ありがとうございました。今回お読み頂いて、お読み頂いた方の気づきがあれば、幸いです。

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