QUICK企業価値研究所アナリスト 小西慶祐(2019/02/19)
・会社側は業績計画を下方修正。ただ配当計画は維持
19/3期通期の連結営業利益見通しについて会社側は、3Q決算発表時に、5400億円→4500億円(前期比22%減)へ下方修正した。米国中心に販売台数を引き下げたほか、原材料価格の上昇、完成検査問題の影響、役員報酬等の虚偽記載に関する過年度財務情報の修正額などを織り込んだ。ただし、1株当たり年間配当金の計画は、前期比4円増配の57円(期末は28.5円)を維持した。
・利益予想を減額。米国販売の質向上は時間を要しよう
19/3期通期の営業利益見通しに関して企業価値研究所では、もともと米国の販売・収益状況を慎重にみて、会社計画より弱めの予想にしていた。今回、会社修正計画は妥当と判断、同社修正値まで引き下げる。続く20/3期以降も、米国販売の質的向上には従来想定より時間を要するとみたほか、為替レートの前提を1ドル=112円→108円と円高方向に見直し、営業利益予想を減額する。同社は、カルロス・ゴーン元会長の逮捕以降、ガバナンス改善特別委員会の設置などによるガバナンス体制の再構築と、ルノーとのアライアンス関係の修復に努めている。当研究所では上場企業として、一般の少数株主を第一の受益者とした経営体制への立て直しが必要不可欠と考えている。
・リスクファクター ~アライアンスの行方
・アナリストの投資判断 ~配当利回りが6%前後と高く、下値不安は少ないと考える
直近の株価に基づく20/3期の当研究所予想PERは8倍。同社の過去60カ月の平均PERと同水準にあり、割安感はない。今後のルノーとのアライアンス関係も不透明感が強く、懸念材料である。ただ、会社計画に基づく配当利回りが6%前後と高く、下値不安は少ないと考えている。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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