「三ツ矢サイダー」を328万人に飲んでもらう アサヒ飲料が仕掛ける“現場”重視の施策とは炭酸水No.1のウィルキンソンも強化

» 2020年01月20日 18時30分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 アサヒ飲料は、主力ブランド「三ツ矢サイダー」「ウィルキンソン」を中心とした「炭酸カテゴリー」を強化する。販売などの“現場”を軸にした取り組みで、消費者に直接ブランド価値を訴求していく。2020年は、炭酸入り飲料全体で前年比7%増の1億ケースの販売を目指す。

「三ツ矢サイダー」「ウィルキンソン」を中心とした炭酸カテゴリーを強化する

 同社の炭酸入り飲料は、有糖の三ツ矢、無糖のウィルキンソンといった、誕生から100年以上のロングセラーブランドをはじめ、「モンスターエナジー」「ドデカミン」といったエナジードリンクや、「カルピス」ブランドの「カルピスソーダ」などがある。

 三ツ矢ブランドでは、消費者と直接関わる販売現場の取り組みによって、あらためて幅広い層に飲んでもらう機会をつくる。スーパーなどの小売店で、3月28日の「三ツ矢の日」に合わせて、数日間の店頭イベントを実施。実施店舗数を19年の2倍の1400店舗に広げる。アサヒ飲料の社員が各店舗に立ち、試飲販売を行う。このような施策やイベントなどを通じて、20年は全国で年間328万人のサンプリングを計画しているという。

 また、4月7日には新商品「『三ツ矢』特濃オレンジスカッシュ」を発売。濃い味を求める20代男性をメインターゲットに、甘みが強いオレンジ果汁を使用した商品に仕上げている。

4月に発売する新商品「『三ツ矢』特濃オレンジスカッシュ」

 その他、全都道府県でのプロモーション活動や、マイナス5度に冷やした三ツ矢サイダーを販売する「氷点下自販機」の設置場所の拡大などを実施。三ツ矢ブランド全体で過去最高となる、前年比4.7%増の4100万ケースの販売目標を掲げる。

マイナス5度の三ツ矢サイダーを販売する「氷点下自販機」(2018年撮影)

ウィルキンソンのシェアは約5割

 ウィルキンソンブランドは、炭酸水市場の拡大によって好調を維持している。岸上克彦社長は、1月20日に開いた事業方針説明会で「(ウィルキンソンが)無糖炭酸水の市場拡大をけん引してきた。今後もマーケットは伸びていくだろう」と話した。近年は競合商品も増えているが、19年の炭酸水市場におけるシェアは48%だったという。

 成長市場において圧倒的なシェアを誇るブランドで注力するのは、シェアナンバーワンを消費者に“知ってもらう”ことだ。ナンバーワンを訴求することで、既存客はもちろん、新規客にも安心感を持ってもらう。具体的には、商品のラベルに「No.1」という文字を入れて販売。また、店頭でもナンバーワンであることを伝える掲示などを展開するという。ウィルキンソンブランドで前年比11.3%増の3000万ケースの販売を目指す。

 岸上社長は「(アサヒ飲料の)炭酸カテゴリーは幅広い支持を得ている。炭酸に強みを持つメーカーとして認識してもらいたい」と話す。すでに個々のブランドの認知度は高いが、あらためて販売現場を軸とした取り組みに注力することで、裾野を広げる。

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