ソフトバンク、ウィーワーク追加出資に伴う債務負担回避を模索=関係筋

[ニューヨーク 19日 ロイター] - 複数の関係者によると、ソフトバンクグループ<9984.T>は、共用オフィス「ウィーワーク」運営の米ウィーカンパニーのリース債務を引き継ぐことなく、同社に追加出資する方法を模索している。
ウィーカンパニー筆頭株主であるソフトバンクは、同社に50億ドルの金融支援を提案。一方、主要取引行のJPモルガン・チェースは、他の銀行や機関投資家からウィーカンパニー向けに最大50億ドルを資金調達(デットファイナンス)する提案を明らかにしている。
ウィーカンパニーは9月に新規株式公開(IPO)計画を撤回して以降、新たな資金調達に奔走。複数の関係筋がこれまでに明らかにしたところによると、新たな資金を確保しなければ11月にもキャッシュが枯渇する可能性がある。
関係者によると、ウィーカンパニーの特別取締役会委員会はこの週末、アドバイザーらと資金調達案を検討。協議は翌週まで長引く可能性がある。
ソフトバンクと傘下投資ファンドのビジョン・ファンドはこれまでにウィーカンパニーに約106億ドルを出資しており、株式の約3分の1を保有する。
ソフトバンク出資分の株式と負債への分割を巡る交渉が続く一方、新たな出資によってソフトバンクがウィーカンパニーの過半数株式を保有する可能性がある。
関係筋によると、それがソフトバンクによる正式な過半数議決権の掌握となれば、同社はウィーカンパニーを連結子会社化せざるを得なくなる可能性があり、ソフトバンクはウィーカンパニーが抱えるオフィススペースの長期リースなどの債務を引き継ぐ可能性があるという。
開示文書によると、6月末時点でウィーカンパニーの長期リース債務は180億ドル。純債務は13億ドル。
ソフトバンクは、これまでウィーカンパニーの連結子会社化に消極的だった。直近の決算報告に基づくソフトバンクの6月末時点の純債務は約5兆円と、時価総額約9兆円の半分以上に上る。
ソフトバンクがウィーカンパニーの連結子会社化に伴って、過半数議決権掌握を回避する1つの方法としては、追加出資で無議決権株式を取得する道がある。だが、ソフトバンクがどのようにそれを計画しているかは不明だ。
関係筋によると、同社はまた、来年4月に期限が到来するワラント(新株引受権)の形で15億ドル出資するというこれまでのコミットメントについても、ウィーカンパニーとの再交渉を望んでいる。
ウィーカンパニーの広報担当者はコメントを差し控えた。
関係筋によると、ウィーカンパニー取締役会は、レイオフを含むコスト削減策に合意。詳細は明らかにしなかったが、削減策は今後数週間で実施されるという。
JPモルガンはデットファイナンスの引き受けには同意しておらず、ウィーカンパニーはJPモルガンがどれほどの資金を調達できるか見極めようとしている段階だ。
関係筋によると、JPモルガンのとりまとめている資金調達パッケージは、約10億ドルのシニア担保債、20億ドルの無担保債、15億─20億ドルの信用状で構成されている。
JPモルガンの広報担当はコメントを差し控えた。
関係筋によると、ウィーカンパニーはソフトバンクとJPモルガンの提案を何らかの形で統合することを模索する可能性もある。

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