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【個別銘柄】石油関連上昇、NTTも高い、化粧品やピジョンは下落

更新日時
  • SMBC日興は石油セクターを新規「強気」に格付け
  • NTTはNTT都市を完全子会社化、中国需要減警戒し化粧品など売り

16日の日本株市場で、株価変動材料のあった銘柄の終値は次の通り。

  鉱業・石油株:国際石油開発帝石(1605)が前日比3.8%高の1434円、JXTGホールディングス(5020)が3.5%高の821.7円など。SMBC日興証券は石油セクターの業種格付けを新規に「強気」とした。石油株は既に上昇したが、バリュエーション面ではヒストリカルで見ていまだ割高感がないという。秩序ある競争による利益拡大から株主還元が短・中期的なテーマとも指摘した。個別では、国際帝石とJXTGHなどの投資判断を「1(アウトパフォーム)」としている。

  NTT都市開発(8933):300円(23%)高の1594円とストップ高。完全子会社を目指してNTT(9432)が全株式を公開買い付け(TOB)で取得する。買い付け期間は16日から11月27日まで。TOB価格1680円へのさや寄せを見込む買いが入った。

  NTT(9432):4.5%高の4991円。SMBC日興証券は、NTT都市にTOBを行うNTTの100%子会社NTT-SHには不動産管理・エネルギー事業を行う子会社NTTファシリティーズ株も移管する予定で、持ち株会社となり、将来の事業再編と合併が視野に入っていると推察。非通信分野の再編がさらに進むとの見方を示した。

  化粧品株:コーセー(4922)が3.1%安の1万8000円、資生堂(4911)が2.4%安の7138円など。ゴールドマン・サックス証券は、19年1月1日から中国で施行される新EC法が厳格に運営され、代購業者の売上高が大きく減少するという前提に基づき、ポーラ・オルビスホールディングス(4927)を含む化粧品3社の業績予想と目標株価を減額した。日本の化粧品メーカーにとって、代購業者の活動を含む国内インバウンド事業と韓国の免税店を継続的な業績拡大要因と考えてきたが、中国国内外の価格差を利用した代購業者の活動は新法で19年度は急ブレーキがかかり、前期比では比較的大きな減収要因になる可能性が高いとみる。

  ピジョン(7956):8.2%安の5290円。ジェフリーズ証券は15日のリポートで、同証が主催したピジョンの海外事業ミーティングの内容に言及、ランシノやアジア事業に関するポジティブなコメントが聞かれた一方、中国事業については短期的に注意を要すると分析した。9月の訪日外客数が5年8カ月ぶりに前年同月比マイナスになったとの日本経済新聞報道もあり、中国消費関連銘柄の下げが目立つ中、良品計画(7453)も3.0%安。

  昭和シェル石油(5002):2.6%安の2378円。2019年4月に経営統合を予定する出光興産(5019)と同社は16日午後1時に統合に伴う株式交換比率を発表、昭シェル1株に対し出光0.41株を割り当てる。出光の15日終値5930円を基準にした昭シェルの理論株価は2431円となり、さや寄せを見込む売りが出た。出光も3.2%安の5740円。

  不動産株:三井不動産(8801)が2.9%高の2559.5円、三菱地所(8802)が2.2%高の1816.5円、住友不動産(8830)が2.0%高の3967円など。NTTのNTT都市開発へのTOBを受けてみずほ証券は、含み益を考慮した修正PBRが0.6倍の同社が親会社に買収されることで、不動産株全体にもややポジティブとの見方を示した。NTT都市の18年3月期末BPSは685.8円だが、賃貸不動産などの含み益が自己資本の3倍あるため修正BPSは2124.7円と同証では試算している。

  ミネベアミツミ(6479):2.2%高の1857円。取引開始直後に一時8.4%高と急伸したものの、その後0.5%高まで失速するなど荒い値動き。トレーダーは、匿名を条件に誤発注の可能性を指摘した。

  レノバ(9519):9.4%高の1168円。SMBC日興証券は投資判断「1(アウトパフォーム)」を継続、目標株価を950円から1610円に上げた。苅田バイオマス発電事業は融資契約などが滞りなく締結し、計画通り稼働する確度が高まったと判断。同事業の22年3月期連結化などを織り込み、業績予想を見直した。長期利益成長をバリュエーションに織り込めるようになったとみている。

  三井金属(5706):3.3%高の3280円。野村証券は非鉄金属セクターのリポートで、下期もコスト増のリスクがありやや慎重な姿勢を維持しつつ、三井金のみ投資判断を「買い」とするスタンスを継続した。7-9月期決算発表ですぐに株価が回復するほど楽観視はしていないが、極薄銅箔の中期的な成長力は評価でき、向こう半年から1年間では再評価の余地が大きいとの見方を示した。

  KYB(7242):12%安の3895円。同社と子会社が製造した建築物用の免震・制振用オイルダンパーで、検査データの書き換えにより国土交通大臣認定の性能評価基準に適合しないなどの不適合品を建築物に取り付けていたことが判明したと午後発表し、急落。不適合物件数は合わせて986件。書き換えは03年1月から18年9月まで行われていた可能性が高いとしている。

  ドトール・日レスホールディングス(3087):6.2%高の2037円。3-8月期営業利益は前年同期比7.9%減の58億3400万円だったが、減益率は3-5月期(第1四半期)の15%から縮小した。西日本豪雨など天候不順、自然災害の影響で上期の既存店売上高はドトールコーヒー2.1%減、日本レストランシステム2.7%減、ドトールは第1四半期の1.1%減から悪化した半面、日レスは3.9%減から改善した。日レスでは「星乃珈琲店」でメニュー替えを実施した。前期比2.3%増の106億円で据え置いた19年2月通期計画に対する進捗(しんちょく)率は55%。

  ベクトル(6058):14%安の1900円。3-8月期営業利益は前年同期比12%増の14億5400万円だったが、従来計画の17億円は下回った。PR事業はコンテンツマーケティング分野でウェブメディアの広告収入が想定以下となり減益、ダイレクトマーケティング事業も広告宣伝費がかさんで減益だった。

  ティーケーピー(3479):12%安の3425円。19年2月期純利益計画を21億2000万円から13億円に下方修正した。保有する大塚家具(8186)などの株式について、投資有価証券評価損8億円強を上期に計上したため。前期比では2.4%増が一転、37%減益になる見込み。

  ベルーナ(9997):6.6%安の1179円。9月の売上高は前年同月比5.3%減と、16年7月以来の減少にに転じた。総合通販事業では一部カタログの発行を後ろ倒ししたことで、衣料品や家具・雑貨などがマイナスになった。

  HIOKI(6866):13%高の3700円。1-9月期営業利益は前年同期比33%増の25億8400万円。主力の電子測定器を中心に現場測定器、記録装置などが増収、売上高の伸びで新製品開発に向けた投資、海外での販路開拓など固定費の増加を吸収した。前期比23%増の30億7000万円を据え置いた18年12月通期計画に対する進捗率は84%。

  マネーフォワード(3994):5.9%安の4545円。17年12月-18年8月期売上高は前年同期比62%増の31億2600万円、純損失は5億2500万円だった。増収率は上期時点の66%からやや鈍った。主要サービス別売上高は個人向けのPFMサービスが31%増、事業者向けのMFクラウドサービスが85%増。SMBC日興証券は、ともに順調に増加しているがPFMはやや物足りない印象で、フロー収入の水準が低い要因が大きいと指摘した。

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