満を持しての「自社株買い発動」が待たれる状況・オリックス(8591)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8591】オリックス(東証一部) BY

現在値 1,475円/100株 PER5.5 PBR0.65 3月配当優待 9月配当

総合リース首位。事業多角化、海外展開は業界では突出。MA積極的。
今期予想配当金は年2回・合計80円のため、配当利回りは約5.42%となります。

オリックスは株主優待制度を実施しており、3月末に単元以上を保有する株主に対して、

5,000円分のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは8.81%となります。

なお、3年以上保有の場合は進呈額が倍になりますので、同利回りは12.2%となります。

また別途、当社施設等でのサービスが受けられる株主優待カードも進呈しています。

業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 23,692億円、最終利益 2,601億円 EPS 198円
■2017年3月期 売上高 26,786億円、最終利益 2,732億円 EPS 208円 

■2018年3月期 売上高 28,627億円、最終利益 3,131億円 EPS 244円 

■2019年3月期 売上高 24,248億円、最終利益 3,237億円 EPS 252円 

■2020年3月期 売上高 25,700億円、最終利益 3,400億円 EPS 265円 con

□2019年6月1Q 売上高 5,369億円、最終利益 692億円 EPS 54円(7/29)
□2019年9月2Q 売上高 14,000億円、最終利益 1,650億円 EPS 128円 


2019年3月期の売上高は前期比14.9%減の2兆4348億円、最終利益は同3.4%増の3,273

億円で着地し、期初予想との比較はないものの、コンセンサス水準を若干割り込んで、

減収増益着地となりました。不動産事業において、傘下のオリックスJ-REIT(8954)に対し、

ホテルユニバーサルポート(600室)を340億円で売却した他、ヒューリック(3003)に対し、

大型オフィスビルである赤坂スターゲートプラザを売却しました。また期中で大京(8840)

を完全子会社化したため、当該セグに一部寄与しています。一方、海外事業において、

インド投資会社IL&FSの減損(持分23%&減損額115億円)が発生し、その後2,500億円を

投じて航空機リース会社のAvolon(持分30%)と、1,000億円と投じてNXT Capitalへ新規

投資を実行し、当該セグとしては増収増益で仕上げたものの、リテール事業において、

旧ハートフォード生命の会計上の損失(60億円)等が別途発生して足を引っ張りました。


進行期である2020年3月期の通期予算については、例年通り段階利益等の詳細を開示

していないものの、コンセンサスによれば、売上高が2兆5700億円、最終利益は3,400億

円程度が現時点で見込まれております。ただ、7月29日に既に開示されている1Q決算に

よれば、最終利益は692億円に留まっているため、やや鈍い進捗になっています。これは

実績期1QにあったREIT向け大型ホテル売却が剥落したほか、法人金融事業において、

経営者保険にかかる代理店手数料の減少が響いた格好となっています。ただ海外事業

において、新規投資先であるAvolonとNXT Capitalの通期業績寄与が始まったほか、

フ―リハンの株式売却益計上もあり、当該セグは2割の増益を果たしています。1Q時点

では大型のキャピタルゲインを顕在化させていないため、通期業績(コンセンサス水準)

の達成の如何は何とも言えない状況であり、先ずは2Qの様子見という格好となります。

 

当社は2021年3月期までは、中計定量目標として年間純益成長率「4~8%」、ROE「11%」

を示しているほか、健全性基準としてレーティング「A格」の維持を目標に据えています。

直近の投資内容からも顕著なとおり、基本的には海外事業や事業投資を今後の成長

ドライバーに据えていることが明らかであり、実際に実績期においては既述のAvolon

やNXT Capitalにくわえて、大京(770億円;元々は不動産ではなく事業投資セグメント)、

酪農機械商社のコーンズ(400億円?)へ続々と出資し、通年で1兆円超の新規投資を

実行しています。一方、今後期待される大型売却案件としては、既に今上期中の売却

が明らかにされている大和証券Gへのオリックス・リビングの売却(推定500億円規模)

や、蘭AM会社のRobecoの売却などが観測されています。利益を顕在化出来る一過

性の案件自体は豊富にあると考えられるため、会社側の掲げる年間純益成長率下限

の「4%」程の成長幅であれば、暫くは力押しでも実現出来る範囲であると考えています。

 

そしてもう一つの当社における最大の投資論点である株主還元方針については、実績

期で既に配当性向を3%も引き上げて30%水準まで到達させていますが、今期の配当に

ついては、一旦はこの30%基準に留め置いているような状況です。現状において会社側

は信用格付の「A格」を維持したい意向があるものとみられ、更なる増配や自社株買い

を渋っていると考えられますが、当社は中間決算発表時に株主還元策を見直ししてくる

傾向にあることや、足許の低迷した株価水準を考慮すると、いよいよ自社株買いを発動

させてくる可能性は少なくないものと考えています。

 

*参考記事① 2019-02-06  1,648円 OP

大京完全子会社化&配当性向30%はサプライズ大きい・オリックス(8591)。

 

*参考記事② 2018-02-13 1,874円 OP

新3年中計の利益CAGRは4~8%、配当性向は27%へ・オリックス(8591)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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