KYB免震不正、中島社長「交換費、さらに業績に影響」
油圧機器メーカーのKYBは9日、東京都内で決算説明会を開き、中島康輔会長兼社長は「さらに交換費用などが加わり業績に影響がある」との見通しを示した。検査データを改ざんした免震・制振装置の交換品の製造費や交換工事費など引当金で144億円を計上し、2018年4~9月期は最終損益は赤字に転落した。大規模改修などで、赤字幅がさらに増える恐れがある。
中島社長は10月16日に検査データ改ざん問題について記者会見して以来、約1カ月ぶりに公の場に姿を現した。説明会の冒頭、中島社長は「関係者の皆様に多大なるご心配、ご迷惑をおかけして大変申し訳ありません」と頭を下げた。
18年4~9月期の連結決算(国際会計基準)は、最終損益が119億円の赤字となり、前年同期の72億円の黒字から大幅に損益が悪化した。
主な要因は免震・制振装置の交換費用など製品保証引当金を計上したことにある。制振装置は交換工事の経験がなく、交換実績のある免震装置の製造費や交換費用を中心に計算しており、中島社長は「現時点で信頼性のある見積もりが可能な費用のみ計上しており、今後の進捗で交換費用や補償費用などが加わって業績に影響を及ぼす可能性がある」とした。
KYBはマンションの住民説明会を開く方針。中島社長は「構造計算して、所有者や住民にも丁寧に具体的に説明し、不安感を払拭したい」とした。
外部委員会の調査報告書は12月末メドの公表を目指しているが、年明けにずれ込む可能性もある。中島社長は「全社でコンプライアンス(法令順守)を徹底し、信頼回復に努めていきたい」と語った。
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