米国臨床腫瘍学会 2019年消化器がんシンポジウムにおいて「レンビマ®」(レンバチニブ)の肝細胞がんを対象とした臨床第Ⅲ相試験(REFLECT試験)の最新解析結果を発表

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、2019年1月17日~19日に米国サンフランシスコで開催される「米国臨床腫瘍学会 2019年消化器がんシンポジウム(American Society of Clinical Oncology Gastrointestinal Cancers Symposium 2019)」において、当社が創製したマルチキナーゼ阻害剤 レンバチニブメシル酸塩(製品名:「レンビマ®」、以下 レンバチニブ)に関する全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんにおける臨床第Ⅲ相試験(REFLECT試験/304試験)について1、最新の解析結果を発表することをお知らせします。

 

 本学会では、REFLECT試験における腫瘍縮小効果と全生存期間の関連性についての口頭発表のほか、一次治療としてレンバチニブを投与した後の抗がん剤治療に関する解析についてのポスター発表などが予定されています。

 

 当社は、がん領域を重点領域の一つと位置づけており、がんの「治癒」に向けた革新的な新薬創出をめざしています。最先端のがん研究から革新的な創薬を行い、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

  

■主な口頭発表およびポスター発表

※左右にスクロールできます

製品・化合物発表演題・予定日時(米国太平洋標準時)
レンバチニブ
抄録番号:186
レンバチニブの肝細胞がん患者様を対象とした臨床第Ⅲ相試験/REFLECT試験における腫瘍縮小効果(OR)と全生存期間との関連性に関する検討
口頭発表:1月18日(金)14:00-15:30
ポスター発表:1月18日(金)11:30-13:00、17:30-18:30
レンバチニブ
抄録番号:316
REFLECT試験における切除不能な肝細胞がんでのレンバチニブの体重別初回投与量での安全性および有効性に関する検討
ポスター発表:1月18日(金)11:30-13:00、17:30-18:30
レンバチニブ 
抄録番号:317
REFLECT試験における肝細胞がんでのレンバチニブの全生存期間と有害事象との関連性に関する検討
ポスター発表:1月18日(金)11:30-13:00、17:30-18:30
レンバチニブ
抄録番号:371 
一次治療としてレンバチニブを投与した後の抗がん剤治療:
切除不能な肝細胞がんを対象とした臨床第Ⅲ相試験/REFLECT試験におけるレンバチニブ投与後治療薬の効果に関する事後解析
ポスター発表:1月18日(金)11:30-13:00、17:30-18:30

 当社は、レンバチニブについて、2018年3月にMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. (米国とカナダ以外ではMSD)と、単剤療法およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.のペムブロリズマブ(製品名:「キイトルーダ®」)との併用療法におけるグローバルな共同開発と共同販促を行う戦略的提携契約を締結しています。

以上

<参考資料>

1. 「レンビマ®」(一般名: レンバチニブメシル酸塩)について

 「レンビマ」は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能なエーザイ創製の新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤です。

 現在、本剤は、甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州、アジアなど50カ国以上で承認を取得しています。また、米国、欧州など45カ国以上で、腎細胞がん(二次治療)に対するエベロリムスとの併用療法に係る承認も取得しています。欧州での腎細胞がんに係る適応については「Kisplyx®」の製品名で発売しています。

 さらに、肝細胞がんに係る適応で、日本、米国、欧州、中国などにおいて承認を取得しています。また、ブラジル(2018年3月)などにおいて承認申請中です。

   

2. REFLECT試験/304試験について

 本試験は、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんの患者様954人を対象とした、レンバチニブと標準治療薬であるソラフェニブとの有効性および安全性を比較する無作為化、多施設共同、非盲検グローバル臨床第Ⅲ相試験です。本試験では、954人の患者様が無作為に割り付けられ、レンバチニブ群(478人)では、体重によって1日1回12mg(60㎏以上)または8mg(60㎏未満)が投与され、ソラフェニブ群(476人)では1回400mgを1日2回投与されました。投与は病勢進行あるいは忍容できない有害事象の発現まで継続されました。本試験は、主要評価項目を全生存期間とし、非劣性の検証を目的に実施しました。

  

3. 肝細胞がんについて

 肝がんはがん関連死亡原因の第4位であり、世界で年間約78万人が亡くなり、毎年約84万人が新たに肝がんと診断されています2。地域差も大きく、中国、日本を含むアジアに新規患者様の約80%が集中しています。肝細胞がんは、肝がんにおいて最も発生頻度が高く、肝がん全体の85~90%を占めています。現在、肝細胞がんの一次療法に対して承認されている全身化学療法は限られており、アンメット・メディカル・ニーズが高い疾患の一つです。

 

4. エーザイとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.による戦略的提携について

 2018年3月に、エーザイとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. (米国とカナダ以外ではMSD)は、レンビマのグローバルな共同開発および共同販促を行う戦略的提携に合意しました。本合意に基づき、両社は、レンビマについて、単剤療法およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の抗PD-1抗体「キイトルーダ」との併用療法における共同開発、共同販促を行います。

 併用療法については、既に実施している臨床試験に加え、6種のがん(膀胱がん、子宮内膜がん、頭頸部がん、肝細胞がん、メラノーマ、非小細胞肺がん)における11の適応取得を目的とした新たな臨床試験をLEAP臨床プログラム(LEnvatinib And Pembrolizumab)として実施します。また、LEAP臨床プログラムでは、さらに6種のがんを対象としたバスケット型試験(胆道がん、乳がん、大腸がん、胃がん、脳腫瘍、卵巣がん)も実施します。

 現時点で、承認された「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法の適応はありません。

 

1   Kudo M et al., “Lenvatinib versus sorafenib in first-line treatment of patients with unresectable hepatocellular carcinoma: a randomised phase 3 non-inferiority trial” The Lancet 2018, 391 (10126), 1163-1173.

2   GLOBOCAN2018: Estimated Cancer Incidence, Mortality and Prevalence Worldwide in 2018. http://globocan.iarc.fr/

 

「キイトルーダ®」はMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.Aの子会社であるMerck Sharp & Dohme Corp.の登録商標です。