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【電子部品】
マツダがSiC搭載EVを2025年以降に投入
ローム製SiCモジュールを今仙電機がインバーターに

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 マツダとローム、今仙電機製作所は、SiCパワーモジュールを搭載したインバーターの共同開発契約を結んだ。ロームがSiCモジュールをつくり、今仙電機製作所がそれを載せたインバーターを開発、最終的にマツダの電気自動車(EV)の電動駆動ユニットに搭載する。2025年以降発売のマツダ製EVにこのインバーターが使われる見込み。

 SiCパワーモジュールを担うロームは、マツダの性能要件を「完成車レベルから逆算して理解」(ローム パワー・ディスクリート事業本部長の野間亜樹氏)し、開発する。ロームは今回の開発を通じて、EV駆動インバーター用の汎用的なSiCパワーモジュールをつくりたい狙いもあるようだ。「駆動電圧など詳細な条件はまだ決まっていない」(ローム)。ロームの第4世代SiC MOSFETが載るという。車載インバーター搭載時には、Si IGBT比で6%電費を改善できる見込みとする。

 インバーター開発は今仙電機製作所を中心に進める。「当社独自の高効率化技術を用いる」(今仙電機製作所)という。マツダとの合弁会社「Mazda Imasen Electric Drive」の設立も発表した。この会社へ今仙電機製作所の開発者を出向させ、インバーター開発を推進するという。(土屋丈太)

【電子部品】
ジャガー、米ウルフスピードとSiCの調達契約
最初のモデルは2024年発売の「Range Rover」

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 英Jaguar Land Rover(ジャガー・ランドローバー、JLR)は、次世代電気自動車(EV)のインバーターに使うSiC半導体を調達するため、SiC基板大手の米Wolfspeed(ウルフスピード)と戦略的提携を結んだと発表した。

 JLRは、電動化戦略「Reimagine」の下、2039年までにサプライチェーン、製品、サービス、および業務全体でカーボンニュートラルを達成することを目指している。そのためにジャガーはEV専用ブランドになり、ランドローバーも5年で6車種のEVを投入する計画を進めている。その中核技術として、次世代EVにSiC半導体を採用し、エネルギー効率の向上を図る。

 インバーターにSiC半導体を使うことで、電池からモーターへの電力輸送を効率化し、電力損失を大幅に削減できる。これにより電費を改善して航続距離を延ばせるほか、インバーターを小型化できる。この技術を採用する最初のモデルは「Range Rover」で、2024年から利用可能となる。また2025年にはジャガーブランドの新しいEVにも採用する。

 今回の提携でJLRは、Wolfspeedの供給保証プログラムに参加し、EV生産量に合わせてSiC半導体を確保する。(櫛谷さえ子)