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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ 最善を尽くし、時節の到来を待とうじゃないか

株式評論家 杉村富生

「最善を尽くし、時節の到来を待とうじゃないか」

●上放れのきっかけ、タイミングは…?

 基本的に、気迷い感の強い相場展開が続いている。筆者にとっては期待はずれのパターンである。日経平均株価は1月23日の2万4129円が高値だ。以来、もみ合いは8ヵ月に達する。通常、こうした調整局面は上か、下か、どちらかに放れるものだが、現状では方向感が定まらない。確かに、日経平均のPER面では13倍を割り込んでいる。底値ゾーンだ。しかし、上放れるにはきっかけが必要だろう。

 それは、9月20日の自民党総裁選(アベノミクスの継続を確認)、10月初旬~中旬の上半期(4-9月)の決算発表、11月6日のアメリカの中間選挙(アク抜け)などのスケジュールを消化、外国人の強気転換が不可欠と考えている。もちろん、相場はこうした材料を先に織り込む。売り方は買い戻しを急ぐだろう、と判断している。

 すなわち、9~10月には日経平均が2万3000円のカベを突破(1月23日の高値を奪回)、年末には2万5000円がらみの水準を目指す――これは筆者の基本シナリオである。4~8月は「弱気のスギムラ」(いや、リスク・マネジメントを徹底せよ、と主張)と言われたものだが、9月初めに強気に転換したのだ。もちろん、春~夏相場は個別銘柄対応で乗り切ってきたが……。

●智者は歴史に学ぶという教訓を!

 いずれにせよ、この局面は底入れ→反騰能勢突入のきっかけ待ちだ。マーケットはドロ沼の米中貿易紛争に加え、新興国(トルコ、アルゼンチン、ブラジル、ベネズエラなど)の経済、通貨危機を気にしている。しかし、新興国の問題が世界的な金融不安に発展する可能性は低い。米中貿易紛争、および日米通商協議については深刻に考える必要はないと思う。

 1930年代の世界恐慌の引き金になったフーバー大統領(スムート・ホーリー法を制定、輸入品に高関税を課し、関税の引き上げ競争に発展)の過ちをトランプ大統領、中国の習近平主席が繰り返すだろうか。それはない。両首脳ともに、妥協点を見い出すはずだ。古来、智者は歴史に学ぶ、という。いまこそ、歴史に学ぶべきではないか。

 そもそも、人類は「100年に1度あるか、ないか」といわれたリーマン・ショックを克服したのだ。そう、危機は必ず克服される。これが歴史の教訓である。まあ、「貿易戦争」の文言は新聞紙上からかなり少なくなった。「もりかけ」などはほとんど消えたではないか。良い悪いは別にして、人の心は移り気である。

●小物による幕間つなぎが良策!

 物色面ではトヨタグループと関係の深いシステムリサーチ <3771> 、シーイーシー <9692> 。改元(新元号)IoT時代を控え、ビジネスチャンスが膨らむクレステック <7812> [JQ]、TIS <3626> 、情報セキュリティーのテリロジー <3356> [JQ]、ラック <3857> [JQ]などに注目できる。

 まあ、ここは引き続いて小物で幕間をつなぎつつ、最善を尽くして時節の到来を待とうじゃないか。

2018年9月13日 記

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