シルバーエッグ・テクノロジー(3961)事業内容、ビジネスモデル、強みと成長可能性

シルバーエッグ・テクノロジー(3961)事業内容、ビジネスモデル、強みと成長可能性

EC事業者向けに、レコメンドエンジンを提供しているシルバーエッグ・テクノロジー(3961)の株価、業績、売上高等を分析、考察しています。

小型株で、テーマ性が強い銘柄ですので、直近は注目を集めてしまいましたが、まずは、客観的に事業内容を精査する前に実績値としての数字を見ていきたいと思います。

株価関連情報

(調査日時:2021/2/1)

時価総額:53億円

PER(予):62.83倍

PBR:5.45倍

時価総額50億円程度と、規模的には、小型株と言えるでしょう。PER/PBR共に非常に高い水準です。成長企業にありがちな高いPER水準と言えるでしょう。

中身を精査して、現株価が割安か、割高の判断は、長期的に成長が見込めるかどうかの判断が必要となってきます。

売上高推移

(単位:百万円)

2016年:738

2017年:855

2018年:918

2019年:999

2020年(予):1,200

2011年から遡って売上高の推移はみることができますが、連続増収を継続しています。成長率に関して言えば、2017年までは、二桁成長だったのが、2018,19年と若干、成長が鈍化しているのが気になるところです。

営業利益推移

(単位:百万円)

2016年:138

2017年:149

2018年:134

2019年:110

2020年(予):195

営業利益は、一定の水準で横ばいという形です。2億円に届かないという水準なので、結構コストがかかる構造なのかもしれないと気にはなります。売上高の伸びに対して、営業利益が伸びていないので、サービス提供に対してのコストが高いのかもしれないと考えてしまいます。

当期利益推移

(単位:百万円)

2016年:81

2017年:95

2018年:88

2019年:-20

2020年(予):85

営業利益が低いので、当然、当期利益も非常に低い水準です。トップラインは伸びているのは良いですが、利益率をどのように高めていくのか確認が必要となってきます。

ROE推移

(単位:%)

2016年:12.2

2017年:11.9

2018年:9.7

2019年:-

2020年(予):8.6

ROEも、10%前後という水準。情報通信系では、一般的という水準。

有利子負債推移

(単位:百万円)

2016年:-

2017年:-

2018年:-

2019年:-

2020年:-

有利子負債は特にありません。

現金等推移

(単位:百万円)

2016年:605

2017年:702

2018年:788

2019年:726

現金は潤沢にあるのですが、着実に積み上がっているという訳ではありません。利益が積み上がっていないので当然と言えば当然。

キャッシュフロー推移

営業活動のキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:85

2017年:92

2018年:71

2019年:61

営業活動によるキャッシュフローが1億円に満たない水準が続いているというのは、少し気になるところです。今のところ現金は潤沢にあるので問題はなさそうですが、長期的に営業キャッシュフローが改善されることを期待しないといけないでしょう。

投資活動のキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:-7

2017年:-36

2018年:2

2019年:-130

投資活動にそこまで大きな額があるわけではなさそうです。営業キャッシュフローの水準が高くないので、経営者としては大きな勝負には出られないというのが考えとしてあるのか、それともそもそも大きな投資が必要ないか。

財務活動のキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:322

2017年:40

2018年:11

2019年:12

2020年:-

特に借り入れなどもないですし、配当もないので、財務活動で注目すべきポイントはあまりなさそうです。

フリーキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:77

2017年:56

2018年:74

2019年:-68

2020年:-

フリーキャッシュフローがもう少し積み上がっていく、将来的には積み上がっていくことが確認できるかが、重要な要素になってきそうです。

シルバーエッグ・テクノロジ、事業内容

※以下の項目は、2018年、4月頃に執筆したものですので、ご留意ください。

事業内容は、「AI(人工知能)技術をベースにしたWebマーケティングサービスの開発・提供」です。

主力は、アイジェント・レコメンダー

主力サービスは、アイジェント・レコメンダー(http://www.silveregg.co.jp/ir/ir01.html)と呼ばれるシステムで、下記、会社HPより抜粋します。

複数のレコメンデーション・アルゴリズムを搭載した、リアルタイムAI(人工知能)マーケティング・プラットフォームです。顧客企業は、利用場面に応じて最適な技術を容易に選択・導入することができ、ABテストによる効果検証も可能です。アルゴリズムは、シルバーエッグ社独自開発のAIをベースにしており、サイトのアクセスや購買状況、各ユーザーの動線を「リアルタイム」に把握・分析し、一人一人の嗜好に合ったおすすめの商品を、瞬時に表示することができます。

出典:http://www.silveregg.co.jp/ir/ir01.html

ポイントとしては、ユーザーのサイト上の行動からAIの技術を活用することで、リアルタイムにレコメンデーションを表示することができる点です。

Amazonなどでショッピングしているとレコメンデーションが表示されますが、あれと基本的には同じ機能なのでしょうか。

オプションサービスとして、「レコガゾウ」というサービスもあり、こちらはメール開封時にリアルタイムでレコメンド結果を自動生成するシステムです。

HotView

三つ目のサービスとしては、「HotView」と呼ばれ、サイト訪問者に対して、パーソナライズされた広告表示が可能となるシステムです。

上記のうち、それぞれ共通する機能としては、ユーザーの行動をリアルタイムに分析・解析し、もっとも最適なレコメンデーションを表示する機能であることが分かります。

従来のレコメンデーションは、例えば「すべてのユーザーに対して同じレコメンデーションが画一的に表示されていた」、「一定期間の情報をもとにレコメンデーションを表示していた」など、訪問者一人一人に対してパーソナライズがされていないリアルタイム性がない場合などがあります。

ユーザーにとっても、例えば自分の関係のない商品を勧められても、全く興味がないという経験は多くありませんか。

それによって企業にとっては売上に繋がらないばかりか、ユーザーにとっても無駄な情報でしかありません。

そのような状況下、当社はAIを活用し、リアルタイムでレコメンデーションを提供できるというところに革新性があるのでしょう。

導入実績

導入実績がサイトに書かれていたのですが、実績があるようです。

以下参考事例:

シルバーエッグ・テクノロジー、成長性

当社がターゲットとするマーケットは多岐に渡ります。ユーザーが欲しい情報・商品を探す行為をするサイトサービス提供者はすべて潜在的なターゲットとなりえます。

そう考えると、求人、旅行、アパレル、音楽、商品などあらゆる業界が対象となります。

しかも、EC市場自体は、今後も年平均6,7%程度の成長が予想され、全体のパイ自体も成長するマーケットです。

各社ともレコメンデーション機能を自社で開発する動きは出てきているものの、開発コストや人材不足により開発が困難であることは課題として挙げられ、自社でゼロから作らず既にあるシステムを導入する動きは今後も出てくることが予想されます。

業種別ではアパレルに強い

業種別では、アパレル 30.7%, 総合通販 18%, 人材17.1%とアパレル、現時点ではアパレルや人材系に強いことが分かります。

コスメや不動産はまだ1桁台ということもあって、まだまだ業種によっても伸ばせる領域はあるかもしれません。

当社は、営業収益が10億円未満、時価総額も50億円程度とまだ規模も小さいがゆえに、成長ポテンシャルは高いと思われます。

シルバーエッグ・テクノロジーのビジネスモデルに優位性はあるか。

当社サービスのもう一つの特徴として、成果報酬型の課金方法をとっている点です。主力のアイジェントの基本の費用体系は、会社HPより

初期費用:150,000円
月額費用:レコメンド経由売上の5%を課金

と記載あり、初期費用の安さ、かつ成果に一緒にコミットしてくれる点がサービス導入側にとっては非常に魅力的です。

導入事例の各社の感想にも記載があったのですが、導入の決め手は初期費用の安さ、成果報酬型でパートナーとして売上にコミットしてくれる点が挙げられていました。

しかしながら、技術的な面で、他社に比べてどの程度優位かという点が理解できなかったので、競合他社が圧倒的な技術力で、レコメンデーションの精度を上げてきた場合には、優位性は弱まる可能性があります。

競争環境については、別途調べてみたいですが、実績ベースで、2017年度の国内において「SaaS型レコメンドエンジン売上高」第一位となっており、他社に比べて競争優位はありそうです。他に競合が5社いるようです。

成長への継続的投資を実施しているか。

技術革新の早いインターネットサービスの領域だけあって、技術の動向には感度高くチェックを実施していることが窺えます。

直近の有報(2017年12月期)では、研究開発費に12,039千円を計上しており、情報検索、最適化、協調フィルタリング、自然言語処理、画像認識・処理等を研究対象としています。

優秀な経営陣はいるか。

代表取締役社長 & CEO トーマス・アクイナス・フォーリー

アメリカ人の起業家でありソフトウエアの技術者。1985年、デジタル・イクイップメント社 (DEC)に入社。最終的に、人工知能コンサルタント・グループのプリンシパル・エンジニア兼コンサルタントとして勤務。その後ジェンシム社に移り、ビジネスプロセスおよびサプライチェーンのリエンジニアリング・ソフト「リシンク(ReThink)」の開発者として活躍。同製品はジェンシム社の最高収益部門となり、顧客はXerox、IBM、米国特許商標庁など。1996年、同社の日本支社設立のため支社長として来日。1998年8月、シルバーエッグ・ テクノロジーを西村淳子と設立。1999年から同社のCEOに就任。現在に至る。アメリカ合衆国マサチューセッツ州生まれ。

出典:会社HPより

日本の上場企業の代表取締役が外国人というケースは珍しいですね。

彼のインタビュー記事はインターネット上に落ちていなかったので、どのような思想の持ち主かということは分かりませんでした。

しかし、1998 年とインターネットの黎明期から人工知能の技術に着目していた点は、あまり他にみないと思います。

長年の研究や開発によって先行者優位があれば、技術的には相当高いものがあるかもしれません。

分析コメント

魅力的なポイント

・魅力的なマーケットで、時代のニーズにも合致しているサービス提供。

・成果報酬型で導入が進みやすいビジネスモデル。

・事業領域においては、売上は国内1位という実績。

・事例紹介より、各社導入後の実績、評判がとても良い。

懸念点

・成果報酬型は、クライアントの売上の動向に影響を受ける。景気の動向を受けやすい。

・圧倒的な技術的な優位が分からない。メインの競合は国内にほか5社、グローバルにも競合がいる点。

テンバガー可能性

「C」評価です。

ECをテーマにした銘柄なので、時流には合っているサービスを提供できている点、独自の技術で一定の市場シェアを獲得できている点はとても良いかと思いますが、客観的な数字的な成長性が低いので、その点が懸念され、C評価。今後何かしら技術的なブレークスルーがあれば、業績インパクトなど大きく飛躍する可能性はあると言えるでしょう。

※「S」、「A」、「B」、「C」、「D」の5段階で勝手に評価した場合です。

※本記事に掲載されているコメントは、あくまで個人的見解に基づくものです。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。また記載事項個人の調査に基づくものであり、100%正確であるとは限りませんので。くれぐれも投資は自己責任でお願い致します。

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関連記事:SBI証券のスクリーニング指標一覧、機能の使い方

関連記事:小型株・成長株、銘柄一覧まとめ【日本の有望銘柄80社をブログで紹介】

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関連記事:株式投資の本質を勉強するためのおすすめ書籍10冊

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