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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─目先は底入れ、反発のタイミング!

経済評論家 杉村富生

「目先は底入れ、反発のタイミング!」

●4月以降の売り圧力はほぼ一巡!

 気迷い感の強い相場である。しかし、筆者は「底入れのタイミングが近い」と考えている。実際、4月以降の売り圧力は一巡したのではないか。確かに、インデックス(日経平均株価TOPIX)は相変わらず、ヘッジ売り、投機の対象となっている。12日の空売り比率は48.4%と高水準だ。ネット証券の信用取引(買い)の評価損率は3割超という。

 異常値だ。これではちょっとした株価の下落によって追い証が発生、投げを余儀なくされる。ただ、SQ(特別清算指数の算出)を通過、6月決算ファンドの解約45日ルール(解約は決算期末の45日前に通知すること)も越える。ソフトバンクグループ <9984> [東証P]の反発は売り方の買い戻しだ。今後は集中豪雨的な売りは止まる。

 ナスダック指数は昨年11月22日の1万6212ポイント(ザラバベース)を高値に、この5月12日には1万1108ポイントの安値まで売り込まれた。下落率は31.5%となる。ハイテク系の高PER銘柄が多いだけに、金融引き締め(金利上昇)に弱い。「弱気マーケット」なのは確かだが、下げすぎではないか。

 半面、NYダウの下落率は15.5%(1月5日の高値3万6952ドル→5月12日の瞬間安値3万1228ドル)にとどまっている。この安値水準の25日移動平均線とのマイナスカイリ率は5.7%だ。今後の動きはウクライナ情勢、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策とはいえ、目先は底打ち、反発の時期と判断する。

 一方、日経平均株価は年初来安値を更新したNYダウと違って、3月9日の安値2万4681円を下回っていない。この背景には先に下げたこと(昨年9月14日の高値3万0795円比の下落率は19.9%)に加え、PER、PBRなどの株価指標的に出遅れていることがあろう。もちろん、外国人、機関投資家など実需筋の買いが入り始めている。

●元気な強い銘柄を攻めるのがセオリー!

 ヨーロッパは戦時体制下にある。国際紛争を解決するオプションとして「戦争」を持ち出す国が出現、それを実践している。恐ろしい時代である。これに対し、国連は無力だ。G20は機能不全に陥っている。中国、インド、ブラジル、サウジアラビアなど9カ国はロシア制裁に参加していない。ロシアを加えると、G20の半数になる。

 ドルの基軸通貨体制を維持し、西側が結束するにはG7の活用、およびNATO(北大西洋条約機構)の強化しかない。いずれにせよ、戦後の国際秩序は崩壊した。マーケットは国際情勢の激変、FRBの利上げ、QT(量的金融引き締め)に脅え、身構えている。しかし、この流れは止められない。投資家は順応できると思う。

 コロナ禍に伴う中国の上海市などのロックダウン(都市封鎖)によるサプライチェーンの混乱はピークを越えつつある。中国は全体主義国家だ。国の威信にかけて、絶対に封じ込める。要するに、悪材料の多くが株価にほぼ織り込まれた。すなわち、株価には先見性がある。この世界では「理路整然と曲がる」という。その愚は避けるべきだろう。

 狙い目はどうか。やはり、元気な強い銘柄がターゲットになろう。具体的には好業績、かつテーマ性内包のカオナビ <4435> [東証G]、日揮ホールディングス <1963> [東証P]、トプコン <7732> [東証P]、フレクト <4414> [東証G]、インパクトホールディングス <6067> [東証G]、アステリア <3853> [東証P]など。

 このほか、絶好の押し目を形成中の新日本科学 <2395> [東証P]、ウッドワン <7898> [東証S]、ヴィスコ・テクノロジーズ <6698> [東証S]、ウエストホールディングス <1407> [東証S]、メイコー <6787> [東証P]はじっくり狙える。トランクルームのストレージ王 <2997> [東証G]は将来性に着目できる。

2022年5月13日 記

株探ニュース

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