【11月20日 AFP】ブラジル・アマゾン(Amazon)の熱帯雨林で暮らす先住民族ヤノマミ(Yanomami)の居留地で、新型コロナウイルスの感染拡大が「完全に制御不能」となっており、感染者数は3か月で4倍近くに増加している。先住民の権利擁護団体が19日、報告書で明らかにした。

 20世紀半ばまで文明と隔絶した生活を送っていたヤノマミは、アマゾンの熱帯雨林で暮らす他のすべての先住民族と同じく、外界の病気にさらされたことがほとんどなく、1970年代には麻疹(はしか)やマラリアなどの流行で大きな被害を受けた。

 報告書によると、ヤノマミの居留地で確認された新型ウイルス感染者数は、8月に335人だったが、10月には1202人に急増した。死者は、感染が疑われる例を含め計23人に上る。一方、ブラジル保健省は、ヤノマミ居留地の感染者を1050人、死者を9人と発表している。ヤノマミ居留地では、4月に最初の感染者と死者が確認された。

 先住民族の村でソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)は不可能で、ヤノマミが先住民族イェクアナ(Ye'kuana)と共有し、約2万7000人が暮らす居留地では、人口の3分の1以上に当たる約1万人が新型ウイルスにさらされたという。報告書は、「状況は完全に制御不能だ」と述べている。

 先住民の権利擁護団体は、ヤノマミ居留地に新型ウイルスを持ち込んだのは違法採金業者だと主張。この問題に対処できていないとして、極右のジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領を非難している。(c)AFP